大久保三郎 (植物学者)

大久保三郎の生涯と業績

大久保三郎（おおくぼ さぶろう、生年：1857年6月14日 - 没年：1914年5月23日）は、日本の著名な植物学者です。彼は幕臣出身で、東京府知事を務めた大久保一翁の息子として生まれ、優れた学問の道を歩むことになります。

学問の旅立ち

幼少期から知識を求めた大久保は、1871年（明治4年）にアメリカ合衆国のミシガン大学に留学し、植物学を主に学びました。その後、1876年（明治9年）にはイギリスに渡り、さらに専門性を高めました。帰国後は内務省に勤務し、東京大学などでの植物研究に深く関わっていきます。

研究と成果

1878年に内務省に勤め始めた後、大久保は東京大学での御用掛や小石川植物園で植物取調を担当し、特に伊豆諸島や小笠原諸島の植物相に関する研究に身を投じました。1883年（明治16年）には助教授に昇進し、矢田部良吉と共に標本館の拡充に寄与しました。 1887年（明治20年）にも伊豆諸島の調査を行い、その結果は多くの植物資料として残されています。1889年（明治22年）には、著名な植物学者・牧野富太郎と共著で『植物学雑誌』にヤマトグサの学名を発表し、日本における植物研究の発展に貢献しました。

教育者としての役割

1895年（明治28年）、三好学がドイツ留学から帰国すると大学を非職となり、高等師範学校において教授として活動を続けました。その間、中学用の植物学教科書の編集を手掛け、教育界にも影響を与えましたが、研究論文の発表は少なかったようです。

大久保三郎の影響

彼の名はシダ類のオオクボシダに冠されており、これは彼の植物学に対する貢献が認められた結果です。また、初心者向けの植物学用語辞書である『植物学字彙』（1891年、斎田功太郎、染谷徳五郎との共著）でも知られています。

家族では陸軍少尉である長男・大久保正が常陸丸事件に関連して軍旗を焼却したことで知られるほか、次男の大久保永は海軍主計大佐として活躍しました。1916年には、筑波大学附属図書館に寄贈された「大久保文庫」の大半が植物学に関する文献であり、彼の学問の遺産を今に伝えています。

栄誉と評価

大久保三郎は1891年12月21日に従七位の栄典を受け、国家や学界における彼の地位を確立しました。彼の業績は日本の植物学の発展に貢献し、その名は今もなお多くの学者たちによって語り継がれています。彼の研究と教育に対する姿勢は、現代の植物学者たちにとってもインスピレーションとなっており、日本国内での植物研究の礎を築いた人物であると言えるでしょう。

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