大久保留次郎

大久保 留次郎

大久保留次郎（おおくぼ とめじろう、1887年5月12日生まれ - 1966年11月19日没）は、日本の内務官僚および政治家で、東京市長や衆議院議員を歴任した人物です。彼は茨城県行方郡津澄村（現・行方市）で大久保佐吉の次男として生まれ、地元の農家で育ちました。

学歴と初期のキャリア

1913年に東京高等師範学校（現在の筑波大学）を卒業した後、大久保は高等文官試験に合格し内務省に入省しました。彼は主に警察部門でのキャリアを築き、新橋、牛込、神楽坂の各警察署長を歴任。さらには警視庁特高課長や刑事部長としての経験も積み上げました。特に、1920年代には共産党との対立が激しく、彼は第一次共産党事件や三・一五事件といった大規模な検挙事件の指揮を取りました。

政治家としての活動

大久保はその後、千葉県知事（1931年-1932年）や東京市助役（1936年-1937年、1939年-1940年）を経て、1940年に立憲政友会の支援を受けて東京市長に選ばれました。在任中は東京港の開港や交通・水道インフラの整備に力を入れましたが、1942年に市長職を退任しました。

戦後は日本自由党に参加し、衆議院議員として活動を再開しました。第22回[[衆議院議員総選挙]]で旧東京2区から当選したものの、同年に公職追放されたものの、1950年に解除された後は東京7区および茨城1区から選挙に出馬し、最終的に4回当選を果たしました。また、第2次鳩山一郎内閣においては北海道開発庁長官に就任し、その後は石橋湛山内閣や第1次岸内閣でも行政管理庁長官と国家公安委員会委員長を兼任しました。

最晩年と遺産

1964年に春の叙勲で勲二等旭日重光章を授与され、79歳で亡くなるまで国家に対する貢献を続けました。日没の際、従四位から従三位に叙され、その業績は多くの人々に記憶されています。死後、大久保の蔵書は家族によって寄贈され、行方市立北浦中学校に「大久保留次郎先生記念文庫」として保存されましたが、2003年の校舎改築に伴い処分されてしまいました。現在は同校に伝わる資料として、肖像画と松下操による伝記のみが残されています。

彼の影響と人物像

大久保はその公職活動において多くのエピソードを残しており、1946年には日本自由党の幹事長となった大野伴睦に対して、かつての関係から広川弘禅の起用を強く推奨し、その結果広川は政界での実力者として成長するきっかけを作りました。また、1953年には菅生事件において日本共産党の弾圧に関与したとして、中村梅吉法相と共に責任を認めた事例もあります。

著書には『群衆の心理』や『新ロシアの研究』があり、彼の思想や見解は政治家としての仕事とともに広く影響を与えました。大久保の生涯は、時代の変遷とともに変わり行く日本の政治に深く根ざしていました。

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