大乗院 (鹿児島市)

大乗院（だいじょういん）

大乗院は、かつて鹿児島市稲荷町に存在した真言宗の寺院です。山号を「経圍山」、寺号を「宝成就寺」と称していました。

歴史

大乗院の起源は、応永25年（1418年）に良範が伊集院に荘厳寺を建立したことに遡ります。その後、島津貴久の時代、天文年間（1532年 - 1555年）に鹿児島松峯山南麓に移され、荘厳寺七世の俊盛が開山となりました。さらに、弘治2年（1556年）には経圍山下に移転しました。この地にはかつて島津氏が本拠としていた清水城がありましたが、手狭になったため内城に移った後、この地に大乗院が建立されました。

大乗院の本尊である千手観音は、島津亀寿（島津家久夫人）の寄進とされています。島津氏の祈願所として、坊津の一乗院、大興寺と共に、本藩真言宗の三本山と称えられ、寺領870石、支院10坊を有する大寺院でした。

しかし、明治2年（1869年）の廃仏毀釈によって、大乗院は最初に破壊される寺となってしまいました。現在、跡地は鹿児島市立清水中学校となっており、11世貫首・覚山の墓と、門前にあった大乗院橋という石造りの橋の一部だけが残されています。大乗院橋は、天保13年（1842年）に肥後国の石工・岩永三五郎によって作られた名橋でしたが、1988年（昭和63年）7月の水害で流失。1990年3月にコンクリート橋として架け替えられました。

大乗院の遺品としては、鹿児島県歴史資料センター黎明館に島津義久が奉納したとされる「釈迦八相図」が、坊津歴史資料センター輝津館には大乗院のものだったとされる板戸が所蔵されています。また、鹿児島市立美術館の構内にある「じめさあ」と呼ばれる石像は、元々は大乗院の境内にあった「白地蔵」であるとされています。「白地蔵」には、祈願をする人々が白粉を塗る習慣がありましたが、廃仏毀釈の混乱の中で行方不明になりました。「じめさあ」は、1929年（昭和4年）に当時の鹿児島市役所敷地（現在の鹿児島市立美術館）で発見されました。

廃寺となった大乗院は、その後、明治12年から13年（1879-80年）にかけて、草屋大仙によって鹿児島市長田町に最大乗院として再興されました。

脚注

参考文献
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史』1巻、鹿児島市長 末吉利雄、1969年2月28日。

関連項目

一乗院 (南さつま市))
島津元久
稲荷神社 (鹿児島市))

外部リンク

鹿児島県歴史資料センター黎明館公式サイト
* 最大乗院

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