大井町 (岡山県)

岡山県久米郡 大井町

岡山県久米郡に位置していた大井町（おおいちょう）は、短期間ながら地域独自の歴史を刻んだ町です。現在この地域は、津山市に編入されており、具体的には一色、神代、坪井上、坪井下、中北上、中北下、南方中、宮部上、宮部下の各地域に相当します。町が発足した際に、それまで南方一色と呼ばれていた地名が一色へと改称されました。

沿革 - 町の誕生から終焉まで

大井町の歴史は比較的短く、特定の合併を経て誕生し、再び別の合併により消滅しました。その第一歩は、1952年（昭和27年）8月1日に始まります。この日、久米郡に属していた大井西村と大東村が一つになり、新たに大井町として発足しました。しかし、町の単独での存続期間は長くありませんでした。誕生からわずか3年後の1955年（昭和30年）1月1日、大井町は同じ久米郡内の久米村、倭文村と合併することになります。この合併により、新たに久米町が誕生し、大井町はその短い町政に幕を閉じました。

町を構成した地域と地理

大井町を構成していた主な地区には、神代、中北上、中北下、一色、南方中、宮部上、宮部下、坪井上、坪井下といった地名が現在も残っています。これらの地域は、豊かな自然に恵まれていました。町域内には、久米川、岩屋川、神代川、宮部川、福本川などの河川が流れ、地域の生活や自然環境を潤していました。また、岩屋山、加冶子山、矢倉山といった山々も点在し、特徴的な地形を形成していました。

教育施設

町内には、かつて地域の子供たちが学んだ教育施設が存在しました。具体的には、喬松小学校と中正小学校といった小学校、そして久米中学校がありました。これらの学校は、地域の教育の中核を担っていました。

交通網

町が廃止された当時、地域を取り巻く交通網は整備の途上にあったとされています。しかし、主要な交通路はいくつか存在しました。鉄道としては、JR姫新線が通っており、町域内には坪井駅が利用できました。道路としては、高速道路である中国自動車道の一部が後に開通し、久米バスストップ（BS）が設置されました。一般国道としては、国道181号線が町域を縦断していました。また、岡山県道としては、県道159号久米中央線、県道335号余野上久米線、県道339号西一宮中北上線、県道340号河本久米線、県道341号坪井下栃原線などが地域を結んでいました。

文化と歴史 - 名所・旧跡、寺社仏閣

大井町とその周辺地域には、古くからの歴史や文化を感じさせる場所が点在しています。代表的なものとしては、戦国時代の山城とされる岩屋城跡や、古代の有力者の存在を示す三成古墳などがあります。これらの旧跡は、地域の歴史を今に伝えています。また、信仰の場としては、正覚寺という寺院がありました。神社も多く、国司神社、久保神社、鶴坂神社、天神社、日吉神社（山王神社）、山尾神社などが鎮座し、地域の守り神として人々に親しまれていました。

参考文献

和泉橋警察署 『新旧対照市町村一覧』第2冊（東京 ： 加藤孫次郎、1889）
地名編纂委員会 『角川日本地名大辞典33 岡山県』（角川学芸出版、1989、ISBN 4040013301）

関連項目

* 岡山県の廃止市町村一覧

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