大井神社 (島田市)

大井神社の概要

大井神社は、静岡県島田市大井町に位置する、由緒ある神社です。国史見在社であり、旧社格は県社、現在は神社本庁の別表神社となっています。大井川の神霊を祀る神社として知られ、特に3年に一度行われる島田大祭（帯祭り）は、多くの人々を魅了する盛大な祭りです。

祭神

大井神社の祭神は、以下の三柱です。

弥都波能売神（みづはのめのかみ）：水の神様。
波邇夜須比売神（はにやすひめのかみ）：土の神様。
天照皇大神（あまてらすすめおおみかみ）：日の神様。

古くは「大井神」として大井川の神格化が信仰の始まりとされ、特に水神である弥都波能売神にその名残が見られます。他の二柱は後世に合祀されたと考えられています。

歴史

創建の正確な時期は不明ですが、国史には貞観7年（865年）に「大井神」の神階が従五位下に昇叙されたという記述があります。しかし、『延喜式』神名帳には記載がないため、国史見在社とされています。また、『駿河国内神名帳』には「大井天神」として正五位下の神階を持つことが記されています。

大井神社には、元々は大井川上流に祀られていたという流着伝説が残っています。建治2年（1276年）の洪水で社が流され、島田に漂着したとされ、その後、下島（現在の御旅所）に祀られるようになったと伝えられています。元宮伝承地は大沢地区に「大井神社旧社跡」碑が建てられています。

江戸時代には、大井川の堤防決壊により一時的に別の場所へ遷座したこともありましたが、その後、島田宿の発展とともに現在の場所へ遷座しました。社領としては、今川氏真や徳川氏から若干の寄進があったとされています。

明治維新後、近代社格制度により郷社に列せられ、後に県社に昇格しました。戦後の昭和41年（1966年）には、神社本庁の別表神社に加えられました。

神階

貞観7年（865年）：従五位下（『日本三代実録』） - 「大井神」と表記
正五位下（『駿河国内神名帳』） - 「大井天神」と表記

摂末社

境内には、以下の五社が鎮座しています。

大井天満宮：祭神は菅原道真公。例祭は10月25日。
春日神社：祭神は健御賀豆智命、伊波比主命など。例祭は6月上旬。
大井恵比寿神社：祭神は大国主命、事代主命。例祭は11月19日。
祓戸神社：祭神は祓戸四神。例祭は5月5日。
静霊神社：祭神は島田市出身の国事殉難者。例祭は4月15日。

祭事

大井神社では、年間を通して様々な祭事が行われています。

主な年間祭事

歳旦祭（1月1日）
節分祭（2月3日）
雛人形焼納祭（4月7日）
春日神社例祭（6月5日）
みそぎの祓い（6月30日）
夏祭り、七夕祭り（8月1日）
例祭（10月15日）
恵比寿神社例祭、恵比寿講社祭（11月19日）
鎮火祭（12月1日）

島田大祭（帯祭り）

大井神社の最も重要な祭りが、島田大祭（帯祭り）です。元禄8年（1695年）に始まったとされ、現在は3年に一度、寅年、巳年、申年、亥年の10月中旬に3日間にわたって行われます。

祭りの見どころは、最終日に行われる神輿渡御の際の大名行列です。大奴が安産祈願の帯を下げて練り歩く様子は、元禄絵巻さながらです。その他、疫病退散を願う鹿島踊りや、子供たちが歌舞伎踊りを披露する屋台も見どころです。

祭りの期間中、島田市の中心部は7つの街に分けられ、各街でそれぞれ特色のある催しが行われます。特に1-5街では屋台を中心とした長唄祭り、6街では鹿島踊り、7街では大名行列と大奴の練り歩きが繰り広げられます。

島田大祭は、山梨県富士吉田市の吉田の火祭、愛知県稲沢市の国府宮はだか祭と並んで「日本三奇祭」と称されることもあります。また、大名行列は「島田帯祭の大名行列」、鹿島踊りは「島田鹿島踊」として静岡県指定無形民俗文化財に指定されています。

文化財

静岡県指定文化財

無形民俗文化財
島田鹿島踊（1957年5月13日指定）
島田帯祭の大名行列（1996年3月12日指定）

現地情報

所在地：静岡県島田市大井町2316
交通アクセス：JR東海道本線島田駅から徒歩約5分
* 周辺：島田宿大井川川越遺跡、蓬萊橋


大井神社は、地域の歴史と文化を今に伝える、重要な存在です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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