大仏開眼 (テレビドラマ)

大仏開眼

『大仏開眼』は、2010年に放送されたNHKの「古代史ドラマスペシャル」第3弾であり、日本の歴史における重要な出来事である奈良時代の大仏建立をテーマにしています。この作品は、吉備真備、阿倍内親王、藤原仲麻呂の三人の人物を中心に、当時の政治的背景や貴族間の権力闘争、またそれによって苦しむ民衆の様子を描写しています。

制作背景

このドラマは、平城京遷都1300年を記念して制作され、過去の作品『聖徳太子』や『大化改新』の流れを汲むものとなっています。制作側は、国家的な大事業としての大仏建立をどのように描くか、その中で「日本」という国家がどのように形成されていったのかに焦点を当てました。主要なキャストには、主演の吉岡秀隆が吉備真備役を演じ、ヒロインの阿倍内親王には石原さとみ、そして敗者の藤原仲麻呂には高橋克典が配されています。特に高橋は本作において初めての時代劇出演という挑戦でもありました。

撮影

撮影は2009年10月から2010年1月にかけて行われ、東映京都撮影所で大仏の半身セットが設置されました。また、真実味を追求するために、復原された第1次大極殿や東院庭園でのロケも行われました。衣装は天平時代を模した赤や紫などが再現されており、当時の髪型やメイクにもこだわりが見られます。

放送日程

ドラマはNHK総合で、2010年の4月3日と4月10日に前後編に分かれて放送されました。再放送も行われ、視聴者からは高い評価を受けました。さらに、DVDとしてもリリースされており、サウンドトラックも制作されています。

あらすじ

前編

物語は天平6年から始まります。遣唐使として帰国した吉備真備は、僧・玄昉と共に日本に戻り、阿倍内親王の教育係に抜擢されます。真備は唐での学びを生かして権力に食い込み、自身の理想を実現しようと奮闘します。しかし、天然痘の流行や藤原家の権力闘争が彼の思惑を阻みます。それでも彼は、社会事業に取り組む僧・行基と出会い、そこから大仏建立の必要性を感じ始めます。

後編

後編では、恭仁京にて聖武天皇が大仏への思いを強める中、真備は大仏造立に対する反発の声も上げます。さまざまな天候不順や飢饉の影響を受けつつ、彼は行基と共に国民の理解を得る努力を重ねます。やがて天平15年に大仏設立の詔が発せられますが、その裏では藤原仲麻呂による権力抗争が激化していき、悲劇的な結末を迎えます。

登場人物

• - 吉備真備: 主人公の下級貴族。唐での学びを活かして社会貢献を目指す。
• - 阿倍内親王: 孝謙天皇として知られる。真備のサポート役。
• - 藤原仲麻呂: 権力者であり、物語の antagonist。
• - 玄昉: 真備の同伴者。大仏建立を推進する。

この作品は古代日本の歴史を舞台に、人間ドラマと国家形成の過程を描くことで、多くの視聴者の心を掴みました。大仏開眼の物語は、現在でも多くの人々に語り継がれています。

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