大円寺 (台東区)

大円寺（だいえんじ）

大円寺は東京都台東区に存在する日蓮宗の寺院で、山号は高光山です。元々は法恩寺を本山としており、様々な歴史的背景を有しています。大円寺の設立は天正年間（1532年から1555年）に遡り、開基は大圓院日授です。もともとは上野清水門の近くに設けられ、その後元禄16年（1703年）に現在の地へと移転されました。

歴史の変遷

江戸時代の中頃には火災によって一度は焼失してしまうものの、その後の昭和9年（1934年）に新たに本堂が再建されました。この再建は、歴史を受け継ぎつつも新しい形で大円寺を立ち上げることを意図したものでした。

境内の見どころ

境内には、特に目を引く碑があります。まずは「錦絵開祖鈴木春信」碑です。これは笹川臨風が撰文を担当し、正木直彦の筆によって題字が刻まれています。鈴木春信は江戸時代の浮世絵師で、その作品には当時の美人たちも多く登場します。この碑は、彼が描いた「笠森お仙」に関連するものであり、実際には「笠森お仙」は現在の功徳林寺にある笠森稲荷前の水茶屋で知られる看板娘です。江戸三美人として名を馳せた彼女の姿は、鈴木春信の錦絵によって残されています。なお、笠森稲荷の所在地に関する誤解があり、大円寺ではなく功徳林寺に実際は存在します。この混同は、周辺地域に近いことも影響しているようです。

続いて、「笠森阿仙の碑」があります。こちらは永井荷風によって設けられた碑で、荷風もまた大円寺の近くにあった笠森お仙の伝説を引き合いに出したようです。さらに境内には、南条俊賢の墓所も点在しており、彼は南条元清の玄孫にあたる人物です。これらの碑や墓所は、地域における歴史や文化を感じる大切な要素を提供しています。

祭りとイベント

大円寺では、毎年10月に谷中菊祭り、通称「大円寺御会式」が開催されます。この祭りは地域住民に愛され続け、訪れる人々にとっても秋の訪れを感じる特別な機会となっています。

アクセス情報

公共交通機関を利用する場合、千代田線の千駄木駅からは徒歩約4分というアクセスの良さです。また、JR東日本の日暮里駅からは約10分で到着することができます。これらの駅からの経路案内に従えば、特に迷うこともないでしょう。

大円寺は、その静かな佇まいの中に深い歴史と文化を収めており、訪れる人々に心の豊かさと安らぎを提供してくれる場所です。日々の喧騒から離れ、ひと時の静寂を味わうための訪問は、どの季節においても価値ある体験となるでしょう。

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