大安寺 (堺市)

大安寺

大安寺は、大阪府堺市堺区に位置する臨済宗東福寺派の寺院です。山号を布金山と称し、ご本尊には釈迦如来坐像が安置されています。この寺院は、応永年間（1394年 - 1428年）に後小松天皇の命を受けた徳秀士蔭によって開かれました。当初は東福寺の末寺として、堺の町の中心部に位置し、二町四方の広大な敷地と六つの塔頭を有していました。

歴史

創建当初、大安寺は堺の町の中心に位置し、広大な敷地を誇っていました。しかし、1615年の大坂夏の陣により、寺は焼失するという悲劇に見舞われました。その後、慶安年間に現在の南旅籠町に移転し、再建されました。この移転によって、寺の歴史は新たな章を迎えることとなりました。

境内

本堂

大安寺の本堂は、総檜造りの書院造の建物で、かつては方丈として使用されていました。1996年から1999年にかけて行われた修理の際、江戸時代初期（17世紀前半）に建てられた邸宅の部材が再利用され、1683年に間取りが変更されて移築されたものであることが判明しました。屋根は本瓦葺の入母屋造で、内部には上段の間を備え、書院造の部屋もある豪奢な造りとなっています。

この本堂は、もともと桃山時代の豪商、納屋助左衛門（呂宋助左衛門）の豪華な邸宅であったという伝承があります。その歴史的価値が認められ、1955年6月22日に国の重要文化財に指定されました。本堂の間取りについては、後述する「障壁画」の項で詳しく解説します。

本堂障壁画

本堂の4つの部屋にある襖、計76面には、江戸時代初期の狩野派によって描かれたと推定される障壁画が飾られています。寺伝によれば、西湖図は狩野元信の作、その他の障壁画は狩野永徳の作とされています。これらの障壁画は、1996年から2002年にかけて保存修復が行われました。その結果、本堂と同様に、移築前の邸宅で使われていたものが再利用されていたことが明らかになりました。これらの障壁画は、1981年6月9日に重要文化財に指定されています。

障壁画は、各部屋ごとに異なるテーマで描かれており、その内容は以下の通りです。

下一之間（6畳） - 紙本金地著色 鶴図13面
下二之間（12畳） - 紙本金地著色 百日紅遊猿図14面、紙本金地著色 黄蜀葵図2面
室中（18畳） - 紙本金地著色 松梅図5面、紙本金地著色 檜図6面、紙本金地著色 藤図8面、紙本金地著色 黄蜀葵図4面
上間（8畳） - 紙本墨画 西湖図24面
附指定 - 紙本金地著色 白梅図4面、著色杉戸絵8面（鶴図2・朝顔図2・吉野山図2・竹虎図2）

これらの障壁画のうち、松梅図の「枝添えの松」は、第二次世界大戦前の日本の国定教科書に「画師の苦心」として取り上げられた逸話で知られています。

開山堂

開山堂は、1706年に大安寺中興の祖である大円長根によって建立されました。この開山堂は、当時朱印地であった築尾村（現在の堺市西区津久野町）の北村了貞によって寄進されたと伝えられています。

その他

境内には、牡丹花肖柏供養塔や、側面に虹のような模様が浮かび上がることが名前の由来となった虹の手水鉢などがあります。この手水鉢は、明治天皇の行幸の際に名付けられたとされています。

文化財

大安寺には、国指定の重要文化財が2件あります。

本堂
本堂障壁画 76面 - 前述の通り

所在地

〒590-0965 大阪府堺市堺区南旅篭町東4-1-4

交通アクセス

阪堺電気軌道阪堺線 御陵前停留場から徒歩5分

外部リンク

堺市あれこれ 神社・仏閣
堺市の文化財 大安寺本堂
* 堺市の文化財 大安寺本堂障壁画

もう一度検索