大岩戸義之

大岩戸義之：長く愛された力士の軌跡

大岩戸義之（おおいわと よしゆき）は、1981年5月18日生まれ、山形県鶴岡市出身の元大相撲力士です。最高位は東前頭16枚目。179cm、145.5kgの体格を活かし、突き押しを得意とする力士でした。愛称は「カン」。

アマチュア時代から大相撲入門

小学校4年生から相撲を始め、中学校では柔道部と相撲クラブを両立。山形県立加茂水産高校、近畿大学と相撲を続け、近畿大学4年生時には全国学生相撲選手権大会で優勝、学生横綱に輝きました。団体戦でも優勝し、2冠を達成するなど、学生時代からその才能を開花させていました。

当初は教員を目指していましたが、幕下15枚目格付出の資格を得て、八角親方（元横綱北勝海）の紹介もあり、大学卒業と同時に八角部屋に入門。2004年3月場所に初土俵を踏みました。同期には、後に幕内力士となる者も複数おり、激しい競争の中でキャリアをスタートさせました。

大相撲での活躍と苦悩

幕下付出でデビューしたものの、最初の場所は負け越してしまいました。しかし、その後は勝ち越しを続け、2005年5月場所には十両に昇進。得意の突き押しで勝負しますが、立ち合いの遅さが課題となり、十両定着には至りませんでした。幕下と十両を行き来する日々が続きます。

2011年、大相撲八百長問題の影響で番付が大きく変動。この機会に西十両8枚目まで番付を上げましたが、結果は3勝12敗と大敗。再び幕下からの再出発を余儀なくされました。この時、四股名を本名の「上林義之」から「大岩戸義之」へ改名しています。

その後は十両に定着し、2012年3月場所では10勝5敗の好成績を収め、十両優勝を争う活躍を見せました。2013年3月場所には念願の幕内に昇進を果たしますが、5勝10敗と負け越し、幕内在位は1場所のみに終わってしまいました。

幕内陥落後も十両と幕下を行き来する日々が続きました。しかし、2017年5月場所、西幕下34枚目で迎えた場所で、7戦全勝し、幕下優勝を達成。36歳での優勝は戦後最年長記録となりました。この優勝には、長年支えてくれた地元後援会の存在が大きく影響しています。

引退とセカンドキャリア

2018年5月場所を最後に引退。同年6月には両国国技館で盛大な断髪式が行われました。引退後は、横須賀市内の金属リサイクル会社に就職。営業職として活躍し、現役時代で培った経験を生かしています。

引退後も相撲界との繋がりは続いています。AbemaTVの大相撲中継で解説者として活躍。また、相撲普及活動のための会社「Office Oōiwato」を設立し、社会貢献にも積極的に取り組んでいます。地元紙への寄稿や講演会など、多方面で活躍を続けています。

大岩戸義之の相撲人生は、決して平坦な道ではありませんでした。しかし、持ち前の粘り強さと周囲の支えによって、常に前を向き、努力を続けました。その姿は、多くの人々に感動と希望を与え続け、長く記憶に残る力士として、相撲史に名を刻んでいます。彼の生き様は、多くの後輩力士、そして私たちに大きな勇気を与えてくれます。

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