大島 (愛媛県八幡浜市)

大島（おおしま）について

大島は愛媛県八幡浜市の沖合にある群島のひとつで、その主島を指しても言います。八幡浜市唯一の有人島でもあり、他の地域の大島と区別するため「八幡浜大島」とも呼ばれます。大島の面積は約1.82km²で、2015年時点では244人の住民を擁しています。

地理

大島群は、北西から順に粟ノ小島、大島（沖之大島）、三王島、地大島（地之大島）、貝付小島の5つの島から構成されています。その中で人が住むのは大島のみで、他の島々は無人です。主島である大島は、三王島や地大島と架橋でつながっていて、干潮時には貝付小島が地大島に接続します。島内は傾斜地が多く、最高峰は三能山で、その標高は166.8メートルです。全域は佐田岬半島宇和海県立自然公園に含まれ、自然の美しさが保たれています。

また、豊後水道の中でも、佐田岬半島の基部に近く、愛媛県本土から最短で1.8kmの距離に位置しています。八幡浜港からは南西へ約12km、定期船で片道22分の位置にあります。水産業が盛んで、特にハモや太刀魚、ヒジキといった海産物が採れています。さらにアワビやサザエの養殖も行われており、狭い平地を利用して柑橘類やジャガイモ、玉ねぎといった農作物も生産されています。

自然環境

大島から三王島、地大島にかけては亜熱帯の植物が豊かで、特にハマユウやアコウが自生しています。この地域は愛媛県における自生の北限でもあり、独自の生態系を形成しています。三王島には特に大きなウバメガシの群落があり、その中の2本は500年以上の樹齢を持つとされ、県下で最大の巨木として1983年に市の天然記念物に登録されました。

島の北側には三波川結晶片岩が広がり、地大島の北端では白亜紀の真穴層に接しています。大島側の西岸には断層造成による盛り上がりが見られ、全国でも珍しいシュードタキライトという変成岩類の帯が存在します。これらは5000万～6000万年前の中央構造線の活動に由来し、国内最大規模のものが2004年に国の天然記念物に指定されました。

大島の東端には、竜神の伝説が残る大入池（竜王池）があり、かつては国指定の特別天然記念物ニホンカワウソの生息地でも知られています。この池は特別保護地区にも指定されています。

歴史

大島の歴史は古く、10世紀には藤原純友が天慶の乱で地大島を要塞として利用したとされていますが、江戸時代までは無人島でした。対岸の村から信仰を集めたこの島には、1662年以前に建立された三王島の山王神社もあります。江戸時代には宇和島藩の領地になり、その後開拓が進みました。1669年には井上五助が宇和島藩の許可を得て来島し、これが定住の始まりです。1765年には既に35軒の家が報告されるまでに成長しました。

1889年には周辺の村と合併し、真穴村が成立、その後1937年には八幡浜市に編入されました。戦後の昭和20年代には人口が1200人に達しましたが、以降は減少傾向にあり、2009年には小中学校が閉校となりました。その廃校舎は現在、大島産業振興センターとして再利用されています。

2018年には大島テラスという交流館が完成し、地元民と観光客が交流できるスペースとして利用されています。この施設はカフェや物産情報コーナーを備え、船の待合所としても機能しています。

交通と施設

八幡浜港から定期便が1日3便運行されており、大人片道700円で渡航できます。島内には四輪車はなく、移動は主に二輪車が中心です。大島内にはJAにしうわの支店、大島交流館「大島テラス」、簡易郵便局、出張診療所などの施設が点在しています。また、若宮神社、多くの歴史的な神社も存在し、地域の文化と信仰が色濃く残されています。

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