大島破竹郎

大島破竹郎の生涯

大島破竹郎は、1882年（明治15年）12月20日に福島県若松町で生まれました。会津中学、第一高等学校を経て、1908年（明治42年）に東京帝国大学を卒業。同年、文官高等試験に合格し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。試験合格者106名中、8番という優秀な成績でした。

官僚としての活躍

大島の官僚としてのキャリアは、大蔵属から始まりました。その後、警視庁方面監察や兵庫県事務官などを経て、1914年（大正3年）以降は群馬県、石川県、熊本県、佐賀県の各警察部長を歴任。1921年（大正10年）からは、徳島県や朝鮮総督府忠清南道の内務部長を歴任するなど、内務官僚として重要なポストを担いました。

岡山県内務部長を務めた後、一時休職しましたが、1927年（昭和2年）に佐賀県知事に就任。その後、高知県知事を経て、南洋興発傘下の南太平洋貿易で役員を務めました。太平洋戦争中の1942年（昭和17年）には郡山市長に就任し、戦前最後の市長として市政を担いました。しかし、戦後、公職追放となり、追放解除後の1953年6月12日に、駿河台日本大学病院で脳出血により亡くなりました。

知事・市長としての足跡

大島は、田中義一内閣の下で政友会系の知事として起用されましたが、佐賀県では民政党の勢力が強く、県政運営は難航しました。政友会の政策に沿って前年度予算から大幅に拡大した予算を編成し、佐賀師範学校の男女分離や窯業試験場の設置などを実施しました。高知県知事への転任は、古河銀行の整理における手腕が評価されたためでしたが、高知県でも政友会と民政党の対立が激化し、県会議員の拉致騒動まで発生しました。1929年（昭和4年）7月に民政党の濱口雄幸内閣が誕生すると、地方官の異動が行われ、大島も任を解かれました。

郡山市長時代には、図書館の設置、学童疎開の受け入れ、建物強制疎開などが実施されました。しかし、4度の空襲により530名もの犠牲者を出すという悲劇も経験しました。日本国憲法が公布された4日後に市長を退任しました。

人物像とエピソード

大島は「斗酒なお辞せず」と言われるほどの酒豪で、豪放な性格の持ち主でした。妻は日露戦争で第五師団参謀長を務めた陸軍少将、児島八二郎の次女、君子です。中学の同級生には黒河内四郎がおり、第一高等学校、東京大学、大蔵省と進んだ大久保偵次（大蔵省銀行局長）とは文官高等試験の同期合格者であり、共に会津会会員でした。

参考文献

会津会会員名簿（大正9年12月）
歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』（第1巻）歴代知事編纂会、1983年。
秦郁彦『戦前日本官僚制の制度・組織・人事』東京大学出版会、1981年。
『大衆人事録 東京篇』（第13版）、1939年。
アジア歴史資料センター「文官高等試験合格者氏名内覧の件」（JACAR Ref.A06050197200、枢密院文書・雑件・明治三十六年一月-明治四十五年七月・枢密院秘書課(国立公文書館)）

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