大慈寺 (登米市)

大慈寺の紹介

大慈寺（だいじじ）は、宮城県登米市東和町米川に位置する曹洞宗の寺院で、山号は法輪山です。この寺院の本尊は聖観世音菩薩であり、奥州三十三観音霊場の14番札所としても知られています。大慈寺は、その歴史や文化的価値から多くの人々に親しまれています。

歴史

大慈寺の起源は、かつての天台宗諏訪森大慈寺に遡ります。この寺は藤原秀衡によって創建されたものの、藤原氏の衰退に伴って寺の運命も波乱に満ちたものとなりました。1429年（永享元年）、現在の岩手県奥州市に存在した正法寺の四世、中山良用によって曹洞宗として再興され、現在の形となりました。

この寺は数度の火災に見舞われ、本尊である運慶作の聖観世音菩薩も現存しませんが、唯一残る山門は開創当時からの遺構です。1972年（昭和47年）には東和町から有形文化財に指定され、登米市に移行後もその指定が続いています。また、西行法師が寺を詠んだ作品が伝わっており、1983年（昭和58年）にはその歌を記した歌碑が建立されました。さらに、本堂や経王塔、秋葉大権現なども境内に存在し、それぞれが歴史的意義を持っています。

米川の水かぶり

大慈寺で行われる「米川の水かぶり」は、秋葉大権現を本尊とする独特な火伏の行事です。この行事は、その起源が12世紀後半にまでさかのぼると伝えられ、秀衡の時代に創始されました。毎年2月の初午の日に行われ、男たちが特別な衣装をまとって参加します。具体的には、腰と肩にしめ縄を巻き、頭には輪っかを被り、草鞋を履き、煤を顔に塗った姿で秋葉大権現に参詣し、神の使者として町を練り歩きます。そして、町の安全を祈願するのです。参加者たちは、家々に用意された水をかけながら走り、この様子は地域の人々にとって重要なイベントです。

また、この「米川の水かぶり」では、藁装束を身に着けた男たちとは別に、火男面とおかめの面をつけたグループも存在し、家々を回って祝儀を受け取ります。この行事は1971年（昭和46年）に東和町、1991年（平成3年）に宮城県、2000年（平成12年）に国から無形文化財として認定されました。さらに、2018年にはユネスコによって「来訪神：仮面・仮装の神々」として、無形文化遺産に登録されました。

水かぶりの宿

大慈寺の境内にある「水かぶりの宿」は、代々菅原家が当主を務めており、祭りの準備を行う重要な地点です。ここでは、神様が宿る場所として、宿の人たちは祭りに参加する人々の世話をする役割を担っています。水かぶりの行事に向けて、準備は半年以上前から始まり、丁寧に行われます。

まとめ

大慈寺はその歴史や文化活動を通じて地域社会に根ざした寺院であり、米川の水かぶりなどの伝統行事は、地域の人々にとって大切な存在です。これらの活動が地域文化を継承し続けると共に、訪れる人々にとって魅力的な体験を提供しています。

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