大日坊

大日坊について

大日坊（だいにちぼう）は、山形県鶴岡市に位置する真言宗豊山派の寺院であり、山号は湯殿山、院号は金剛院、寺号は瀧水寺と称されています。本尊は湯殿山権現で、その歴史的背景と文化財の意義が評価され、2008年には国の重要文化財に指定された銅造如来立像を有しています。この寺院は正式には、湯殿山総本寺瀧水寺金剛院大網大日坊と呼ばれ、宗教法人名は「湯殿山総本寺大網大日坊」です。

歴史

大日坊の開山は807年（大同2年）に遡り、空海によって創設され、その弟子である渡海が開基と伝えられています。寺は出羽三山参道の大網口に位置し、出羽三山を信仰する地域の中でも特に重要な存在です。出羽三山神社では蜂子皇子が開祖とされていますが、大日坊と注連寺では空海がこの寺の創始者として認識されています。

「大網」という名称は、湯殿山の守護仏である大日如来と月山の阿弥陀如来を組み合わせた「大阿弥」に由来しています。地元では、大網が空海によって神聖な地として定められ、清められた場所とされています。また、湯殿山は高野山と対比される神聖な地点として信仰されています。大日坊は出羽三山の寺院の中でも特に古くから栄え、信仰の中心地としての役割を担ってきました。

1640年（寛永17年）には、春日局の寄進によって建立された堂に、徳川家光の武運長久を願った本尊が安置されていました。また、1786年（天明6年）には、厳しい修行の果てに即身仏と化した真如海上人がこの寺に安置されており、その身体は腐敗を防ぎ不朽の存在となっています。明治時代には神仏分離が進み、出羽三山から独立した経緯があり、さらに1936年（昭和11年）には地滑りの影響で現在の場所に移転しています。

本尊

本尊の湯殿山権現は「金胎両部大日如来坐像」としても知られています。古くから女人禁制の山であった出羽三山において、大日坊は別当寺として女人の参詣所の役割を果たしていました。寺伝によると、開祖である空海は女人のために湯殿山大権現を彫刻したとされていますが、本尊は秘仏であり、特定の年（丑歳と未歳）にのみ開帳されます。

文化財

重要文化財

• - 銅造如来立像: 飛鳥時代にさかのぼる作品であり、2008年に重文に指定されました。

県指定

• - 皇壇の杉: 大日坊の奥、その前身の敷地に存在する高さ27メートルの杉の木で、根回りは8メートルあります。山形県の指定天然記念物に指定されています。伝承によれば、この杉は景行天皇の皇子、御諸別皇子を偲んで植えられたとされており、空海が帰国の際に選定した聖地の一部とされています。杉は、地元の人々にとって大網の起源を象徴する重要な存在として大切にされています。

大日坊はその歴史的価値と文化財に恵まれた寺院であり、地域の信仰の中心としての役割を果たし続けています。

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