大日本言論報国会

社団法人大日本言論報国会の概要

社団法人大日本言論報国会（だいにほんげんろんほうこくかい）は、1942年12月23日に設立された組織で、主に第二次世界大戦中の大東亜戦争における言論統制を目的としていました。この団体は、情報局の外郭団体であり、戦時下における評論活動を統制し、主に戦争を支持する意見を広めることを目的としました。日本文学報国会が設立されたのに伴い、評論家たちの間でも同様の団体の設立が求められ、大日本言論報国会が誕生しました。

設立の背景

大日本言論報国会の設立には、いくつかの歴史的な経緯があります。1940年に設立された「日本評論家協会」がその前身であり、当初は約280名の会員が集まりました。しかし、会が時期的に有名無実化したため、情報局との結びつきを強化した団体の必要性が増しました。情報局の指導の下で「大日本思想報国会」や「大東亜思想協会」の構想が統合され、最終的に現在の名称が付けられました。

設立当初の目的は、国体の本義を基にした戦争の完遂を目指し、会員間での錬成を図ることでした。定款には、会長や役員の選任に関する具体的な規定があり、情報局の承認なしには総会の決議が発効しないなど、強い統制が敷かれていました。

主要な活動

大日本言論報国会は、主に情報局の監視の下、戦争を支持する活動を展開しました。会員数は次第に増えていき、1943年3月には847名、1944年3月には969名に達しました。1943年には婦人会員懇談会などの催しも開かれましたが、その後は活動が減少し、言論抑圧への加担が強まっていきました。

言論報国会は、機関誌『言論報国』を通じて自らの思想を広める一方、外部からの批判に対しての対立も深まりました。特に、右翼からの攻撃やジャーナリズムに対する非難が強まり、次第に言論報道との関係は複雑になっていきました。1944年には、言論報国会の活動が政権と対立する形となり、その後の戦況の変化と共にさらなる苦境に立たされます。

解散と追放

1945年8月15日の終戦により、大日本言論報国会の存在意義は失われました。解散認可申請書が提出され、8月21日に解散が認可されました。定款上、解散には会員の半数以上の票決が必要でしたが、事務局は「時局切迫」を理由に臨時に解散を進めました。その後、GHQにより超国家主義団体として指定され、役員は公職追放の対象となりました。

結論

社団法人大日本言論報国会は、戦時中的な言論統制と戦争の支持を目的として設立された団体であり、その活動は多くの議論を呼びました。戦後、組織としての存続は許されず、資料は一部が保存されていたものの焼却処分が進められました。日本における戦時体制下の言論界を理解する上で、この団体の歴史は重要な一幕を成しています。

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