大映京都撮影所

大映京都撮影所の歴史

概要

大映京都撮影所は、1927年に設立された日本の映画スタジオであり、特に時代劇の制作で知られています。当初は日本活動写真の「日活太秦撮影所」としてオープンし、1942年に大日本映画製作株式会社が設立されたことで「大映京都撮影所」と改称されました。この撮影所で作られた映画は、技術的な特色や名作として評価されるものが多く、映画史において重要な位置を占めています。

設立からの経緯

大映京都は、1927年1月に新たな映画スタジオの建設が始まり、同年12月には「日活太秦撮影所」として開設されました。1928年には現代劇部も移転し、本格的な撮影が開始されます。映画界の発展とともに、大映京都は多くのスタッフと監督を迎え入れ、1932年には著名な監督のマキノ正博が参加することになります。彼は数度の浮き沈みを経て、このスタジオで成長していきました。

1942年の戦時統合に伴い、日活が持つ製作部門などが統合される形で大日本映画製作株式会社が設立され、大映京都撮影所へと改名されました。この名称変更と同時に、日活は興行会社としての道を歩むことになり、戦後も大映は繁栄を続けます。

再建と閉鎖

1971年に大映が倒産したことで一時的に危機を迎えますが、1974年には徳間書店の傘下で再建され、「株式会社大映映画京都撮影所」として分社化されました。しかし、1986年には完全に閉鎖されることとなり、スタジオは歴史の幕を下ろしました。撮影所の跡地は住宅地となり、59年間の映画製作の歴史が閉じられました。

特徴と技術

大映京都撮影所では、特に時代劇が多数製作され、その撮影技術は高く評価されていました。スタッフは職人気質が強く、永田雅一社長の意向から縁故採用が行われていました。そのため、社員全員が親戚のような関係を築いており、他社のスタッフとの交流は制限されていました。

技術面においても秀でており、陰影を生かした照明技術や、特有の「薄霞」技法は大映京都ならではのものでした。特に、月夜の表現に使われる「擬似夜景」の技法などは、映画に独特の風合いを与えました。さらに、撮影にはアグファ社のフィルムが使用され、色彩の深みや独自性が映画に強く影響を与えていました。

名作の数々

大映京都撮影所では数多くの名作が制作されました。その中でも、黒澤明監督の『羅生門』や、溝口健二の『雨月物語』、衣笠貞之助の『地獄門』などが知られています。また、『大魔神』シリーズや、安田公義監督の『博徒一代 血祭り不動』もこのスタジオから生まれました。

結び

大映京都撮影所は、日本映画界における重要な拠点であり、多くの優れた作品を世に送り出しました。その歴史は、映画技術や文化に多大な影響を与え、今でも多くの人々に記憶されています。閉鎖されて久しい今も、当時の名作やスタッフの努力は決して忘れられることはありません。

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