大桑城

大桑城

大桑城は、岐阜県山県市大桑、青波、富永地区の境に位置する、標高408メートルの古城山（金鶏山）山頂付近に築かれた山城です。鎌倉時代から戦国時代にかけて、美濃国守護・土岐氏の重要な拠点として機能しました。

概要

大桑城は、古城山の山頂付近に本丸が置かれ、南へ二の丸、三の丸と続く曲輪が連なる構造でした。現在も曲輪や土塁などの遺構が確認できます。城の南麓には城下町が広がり、越前国の朝倉氏の一乗谷城を参考に整備されたと言われています。この城下町は江戸時代までその一部が残っていたとされています。

歴史

築城と土岐氏の拠点

『美濃国諸旧記』によると、大桑城は承久3年（1221年）の承久の乱で功績を挙げた逸見義重が、大桑郷を領地とした際に、その子である大桑又三郎によって築かれたとされています。その後、守護の土岐成頼の三男である土岐定頼が明応5年（1496年）に改築し、大桑兵部大輔と名乗り、この城に居を構えました。その後、土岐頼純・頼芸兄弟が居城として使用しました。

斎藤氏との対立と落城

永正6年（1509年）頃から、守護代の斎藤氏が勢力を増し、土岐氏は拠点を川手城、福光館、枝広館へと移しました。しかし、天文4年（1535年）に長良川の洪水で枝広館が流失。土岐頼芸は稲葉山山麓に拠点を移します。一方、土岐頼純は越前国の朝倉氏の支援を受けて大桑城を拠点とし、城下町を開きました。天文11年（1542年）には、斎藤道三の攻撃を受け、頼芸は一時的に城を出ますが、織田信秀の仲介で和睦し帰城します。しかし、天文16年（1547年）に再び道三が侵攻した際、大桑城は落城し、頼純は討ち死に。頼芸も本巣郡河内へ逃れ、大桑城は道三によって焼き払われました。

現在

ハイキングコースとミニチュア城

現在、古城山山頂からは岐阜の街並みを一望できるため、ハイキングコースとして多くの人々に親しまれています。昭和63年（1988年）には、本丸跡地近くに大桑城のミニチュア城（模擬天守閣）が建てられ、観光スポットとなっています。

発掘調査と遺構

山麓には、市指定史跡である「四国堀跡」が残っています。これは、城下を守るために尾張、伊勢、越前、近江の4か国の力を借りて築かれた空堀と土塁の遺構です。令和2年（2020年）12月からは、山県市教育委員会による発掘調査が進められており、巨石を用いた城門や、台所として使用されていた庭園跡などが発見されています。庭園跡からは池とみられる窪地も見つかっています。

白山神社

大桑城の南西、富永地区には、土岐氏が大桑城入城の際に越前の平泉寺白山神社を模して祀った白山神社があります。苔むした参道が特徴で、社殿は国の重要文化財に指定されています。

大桑城が登場する小説

司馬遼太郎の小説『国盗り物語』には、土岐頼芸が籠る大桑城を斎藤道三が攻めて追放する場面が描かれており、大桑城が物語の重要な舞台の一つとして登場しています。

落城に関する言い伝え

大桑城の落城には、以下のような言い伝えが残っています。斎藤道三の家臣が、城への抜け道を探していた際、薪拾いをしていた青波村の老婆に尋ねたところ、老婆は「城の下へ向かって草木を刈り取り、枯れ枝で火道を作れば良い」と助言したとされています。この助言に従い火道が作られ、老婆の合図で火がつけられると、火は瞬く間に燃え広がり、大桑城は落城したと言われています。この落城に老婆が関わっていたことを知った大桑村の住民は、青波村との縁組を一切行わなくなったと伝えられています。

脚注

関連項目

* 日本の城一覧

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