大森義太郎

大森義太郎（おおもり よしたろう）

大森義太郎は、1898年（明治31年）に神奈川県横浜市で生まれ、1940年（昭和15年）に41歳で生涯を閉じた日本のマルクス経済学者です。成瀬光雄という筆名も用いました。

生涯

大森は、父・大森啓助の子として生まれ、東京府立四中、第一高等学校を経て、1922年（大正11年）に東京帝国大学経済学部を卒業しました。卒業と同時に同大学経済学部の助手となり、1924年（大正13年）には助教授に昇進しました。しかし、1928年（昭和3年）に政府による赤化教授への弾圧が強まると、自ら辞表を提出して大学を去りました。これは、いずれ退職を余儀なくされることを予見した先手を打つものでした。その後は大森は、講壇ジャーナリストとして活動しました。

1933年（昭和8年）には、主著である『唯物弁証法読本』を出版し、唯物弁証法の普及に大きく貢献しました。しかし、1937年（昭和12年）に人民戦線事件で検挙され、1938年（昭和13年）に病気のため保釈されましたが、失意のうちに胃癌で亡くなりました。墓所は青山霊園にあります。

業績

大森は、マルクス経済学の理論を深く研究し、その思想を積極的に紹介しました。特に、唯物弁証法の普及に力を注ぎ、その著書は多くの読者に影響を与えました。また、マルクスの著作の翻訳にも携わり、その思想の理解を深めることに貢献しました。

主な著書

『唯物史観』（改造社、経済学全集48） 1932年
『史的唯物論』（共立社、現代史学大系3） 1932年
『唯物弁證法讀本』（中央公論社） 1933年
『まてりありすむす・みりたんす』（中央公論社） 1934年
『マルクシズムのABC』（北斗書院） 1946年

主な翻訳

『理論経済学概説』（エミール・レーデラー、有沢広巳共訳、明善社） 1926年
『レーニンと弁証法的唯物論 レーニン「唯物論と経験批判論」への序論』（デボーリン、叢文閣） 1927年
『唯物論と經驗批判論 反動哲学の批判的考察』（レーニン、山川均共訳、白揚社、レーニン全集） 1929年
『剰余価値学説史 第2巻第1部』（カール・マルクス、改造社、改造社版マルクス・エンゲルス全集9） 1936年

関連人物

河津暹：東京大学辞職時の経済学部長

関連項目

* 唯物史観

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