大沢昇

大沢昇：多才な格闘家と食堂経営者

大沢昇（おおさわ のぼる）は、1942年11月20日に東京で生まれた、日本の空手家、プロボクサー、キックボクサーであり、調理師でもあります。彼は、東京都豊島区にある大沢ジムの会長として知られる存在で、格闘技界でもその名を広めてきました。彼の本名は藤平昭雄（ふじひら あきお）で、極真会館の空手道、ヨネクラジムでのボクシング、協同ジムおよび目白ジムでのキックボクシングを通じて、数々の偉業を成し遂げました。

格闘技キャリアの始まり

大沢の格闘技のキャリアは、1958年に大山道場に入門したことから始まります。彼は身長155cm、体重60kgという小柄な体格に恵まれながらも、熱心な稽古と高いモチベーションで急成長を遂げました。1964年には、空手の代表としてタイ王国に遠征し、ムエタイ選手のハウファイ・ルークコンタイと対戦。彼は体格差を逆手に取り、様々な技で攻撃を仕掛けるも、苦戦を強いられましたが、最終的には逆転のKO勝ちを収めます。この試合により、彼は格闘技界の注目を浴びることとなりました。

キックボクシングへの転向

その後、1968年に協同ジムからキックボクシングデビューを果たした大沢は、タイでの試合を通じて「ビッグハート」と称賛されました。1970年には目白ジムに移籍し、1971年には全日本キックボクシング協会の初代バンタム級チャンピオンに輝きます。彼の試合は高く評価され、特に1973年に引退する際には全日本バンタム級王座を保持していました。

指導者としての活動

引退後、大沢は東京都豊島区巣鴨で「大沢食堂」を開業し、格闘技から距離を置いて生活を始めました。しかし、選手である竹山晴友が格闘技を学びたいと訪れたことで、再び指導者の道を歩むことに。大沢は食堂経営を継続しながら、竹山を日本ミドル級チャンピオンに育て上げ、その名声をさらに広げました。その後、竹山の引退に伴い、大沢ジムを閉鎖しました。

人柄と逸話

大沢昇の人格は、強さだけでなく、温厚で謙虚な性格からも多くの周囲の人々に慕われていました。彼の稽古は非常に厳しく、夜中にサンドバッグを蹴り続ける姿が近所から苦情を言われることもあったそうですが、彼は決して諦めることはありませんでした。

また、映画『007は二度死ぬ』では、忍者役として出演し、その際に宝塚治郎などの有名な空手家とも共演。撮影中の熱心な練習ぶりが、ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーの目に留まり、彼は直接道場を訪れることになりました。

食堂経営とその終焉

大沢食堂は多くのファンに愛されましたが、彼は2013年に年齢的な理由から閉店しました。この店の名物は「極辛カレーライス」で、ファンたちに親しまれていたといいます。

以上のように、大沢昇は格闘技界だけでなく、その後の食堂経営においても、多くの人々に愛され続けた人物です。彼の多才な才能と人柄は、今でも多くの人々の心に残り続けています。

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