大沢雄一

大沢雄一は、1902年（明治35年）に埼玉県北葛飾郡三輪野江村（現在の吉川市）で生まれました。幼少期は、野口英世のような医師を目指し、父も開業医になることを期待していました。しかし、旧制新潟高等学校在学中に結核を発症し、5年間の療養生活を余儀なくされます。その後、弁護士を目指し中央大学専門部法学科に進学しました。

1929年に大学を卒業後、内務省に入省。佐賀県での勤務を経て、中国開封領事として終戦を迎え、帰国しました。その後、埼玉県に戻り、県教育部長や総務部長を歴任。1949年には埼玉県知事に当選し、県政のトップとして手腕を発揮します。

知事時代には、県庁舎の再建、県財政の立て直し、町村合併の促進、工場の誘致、保健所開設など、多岐にわたる課題に取り組みました。特に、武蔵野線の実現に向けて尽力したことは特筆されます。1956年5月、知事2期目の途中で辞任。同年7月には、第4回参議院議員通常選挙に自由民主党から出馬し、初当選を果たしました。

1959年には第2次岸改造内閣で建設政務次官に就任。1960年10月には参議院議員を辞職し、翌11月には第29回衆議院議員総選挙に自由民主党から出馬し、衆議院議員にも当選しました。衆議院議員としては、首都圏整備委員会委員として、武蔵野線、常磐自動車道、東京外かく環状道路などの建設に貢献しました。

1974年には浦和市（現在のさいたま市）名誉市民に選ばれ、1980年の春の叙勲では勲二等旭日重光章を受章しました。これは、以前に受章した勲五等からの昇叙です。1984年7月23日、81歳で死去。その功績を讃え、死没日をもって従五位から正四位に叙されました。

大沢雄一は、医師を志すも病に倒れ、弁護士、そして政治家へと転身した異色の経歴を持つ人物です。県知事、参議院議員、衆議院議員として、地方自治と国政の両面で活躍しました。特に、埼玉県においては、戦後の復興期における県政の再建、インフラ整備に大きな貢献を果たしました。その功績は、今日においても高く評価されています。

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