大河平隆利

大河平隆利（おこびら たかとし）

大河平隆利は、戦国時代に活躍した武将で、北原氏の家臣として知られています。彼の出自は大河平氏にあり、この一族は元々、肥後国八代に拠点を置いていた菊池氏の支流である八代氏でした。しかし、大友氏からの圧迫に耐えかね、日向国へと移り、北原氏に仕えることとなります。隆利の祖父にあたる大河平隆屋が、真幸院の大河平に移住したことが、大河平氏の始まりです。

永禄5年（1562年）に隆屋が亡くなり、その3年前の永禄2年（1559年）には父・隆充も病死していたため、隆利が家督を継承しました。この頃、北原氏は伊東義祐によって実権を奪われており、隆利は薩摩国の島津義弘と親交を深めるようになりました。

伊東義祐は、この動きを察知し、家臣の伊東杢右衛門を大河平城に派遣し、隆利を味方に引き入れようとしました。しかし、隆利はこれを拒否。その夜、杢右衛門は450余名の兵を率いて、150名足らずで守る大河平城に夜襲を仕掛けました。大河平城は堅固な城ではありませんでしたが、隆利は巧みな指揮でこれを防ぎきりました。そして、朝になると城門を開けて討って出ると、10余名の損失を出しながらも、伊東勢50余名を討ち取るという大勝利を収め、敵軍を退散させました。

この功績により、隆利は島津義弘から鍋、灰塚、榎田の地、合わせて2000石を賜りました。さらに、大河平城の西に位置する要害の地に新たな城を築くよう命じられました。これが後に大河平氏の本拠地となる今城です。

しかし、隆利の活躍は長くは続きませんでした。翌永禄6年（1563年）に、彼は病により急逝しました。享年はわずか28歳という若さでした。隆利には子がなかったため、次弟の隆豊が戦死していたこともあり、末弟の隆次が後を継ぐこととなりました。

隆利の生涯は短くも、戦国時代の激しい動乱の中で、武将としての才覚を示した人物でした。


出典

• - 『えびの市史　上巻』（えびの市郷土史編さん委員会編）
• - 『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）

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