大牧1号古墳

大牧1号古墳の概要

大牧1号古墳（おおまきいちごうこふん）は、岐阜県各務原市鵜沼大伊木町に位置する重要な円墳である。正式名称は大牧1号墳であり、大牧古墳群に属している。この古墳は大牧古墳群の中で最も保存状態が良く、古代の豪族の墳墓としてその存在意義が大きい。古墳群には隣接して2号墳と3号墳もあったが、陵南小学校が建設される際、石室の保存状態が1号墳よりも劣っていたため、1号墳だけが保存されることとなり、他の古墳は整地された。

立地と特徴

大牧1号古墳は、各務原台地の南縁から木曽川へと突き出る台地の北端に位置し、周囲には多くの古墳が存在し、特に西方約300メートルにはふな塚古墳という前方後円墳がある。この古墳群には80基を超える古墳があり、大牧1号古墳はその中心的な存在となっている。1982年の発掘調査によって、この古墳は直径約30メートルの円墳であることが判明し、墳丘の周囲には幅約5メートルの間濠が断続的に存在していたことが分かっている。

墳丘の構造と内部

大牧1号古墳は、南方向に開口する横穴式の石室を有しており、その奥行きは約4.5メートル、幅は約2.5メートル、高さは約3.5メートルとされている。また、内部には凝灰石製の組み合わせ式家形石棺が配置されており、これも重要な考古学的な資料である。石棺の長さは約2.4メートル、高さは約1.3メートルであり、当時の技術や文化を知る手掛かりとなる。

出土品と文化的意義

大牧1号古墳からは多くの出土品が確認されており、それらは当時の文化や、被葬者の社会的地位を示すものとして重要である。具体的には、土器、武器類（直刀、鉾、鉄鏃など）、馬具（轡、鐙、杏葉など）、装飾品（ガラス製の丸玉や銀製の空玉）などが出土している。これらの副葬品は、古墳が築かれた時代の人々の生活や信仰、豪族の権力問題を紐解く貴重な情報源である。

文化財としての指定

大牧1号古墳は1984年6月26日に各務原市の指定文化財に登録されており、現在でも地域の重要な史跡として保護されている。そのため、この古墳を訪れる際には、事前に予約が必要である。現在、古墳は各務原市立陵南小学校の敷地内にあり、名鉄各務原線の名電各務原駅から徒歩約30分の距離に位置している。また、各務原市のふれあいバスを利用すれば、稲羽線「陵南小学校口」バス停から徒歩約10分でアクセスできる。

大牧1号古墳は、岐阜県における古墳文化の重要な代表例であり、訪れる人々に古代の人々の生活や信仰を感じさせる貴重なスポットである。

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