大甲郡

大甲郡（たいこうぐん）

大甲郡は、日本統治下の台湾に設置された地方行政区画の一つで、台中州に属していました。その領域は、現在の中華民国（台湾）台中市に位置する大甲区、清水区、梧棲区、沙鹿区、外埔区、大安区、龍井区、大肚区に相当し、これらの地域は俗に「台中海線地区」と呼ばれています。

概要

大甲郡は、以下の4つの街と4つの庄を管轄していました。

大甲街
清水街
梧棲街
沙鹿街
外埔庄
大安庄
龍井庄
大肚庄

郡役所は清水街に置かれ、この地域における行政の中心としての役割を担っていました。

歴史

大甲郡の歴史には、いくつかの重要な出来事があります。

梧棲築港計画：1938年（昭和13年）、台湾総督府は「梧棲築港計画」を発表しました。この計画は、梧棲街に新たな港湾「新高港」を建設することを目的としていました。
新高市計画：1941年（昭和16年）、総督府は「新高港都市建設計画方案」を発表しました。この計画では、梧棲街を中心として周辺の街や庄を合併し、新たな市「新高市」を設立する構想が示されました。しかし、太平洋戦争の激化により、この計画は実現には至りませんでした。
戦後の計画：1945年3月、重慶国民政府が策定した「台湾接管計画綱要地方政制」において、大甲郡の領域を「大甲県」とし、梧棲市（旧名：新高市）を設置する案が盛り込まれました。しかし、この政制自体が廃止されたため、この計画も実現することはありませんでした。

歴代首長

大甲郡の長である郡守は、以下の人物が務めました。

細井鶴三郎
齋藤透：1922年7月 - 1923年7月
小笠原敬太郎：1924年
池田壮太郎：1924年7月 -
増永吉次郎：1925年7月 - 1926年7月
杉山靖憲：1926年7月 - 1930年8月
宮野為長：1931年8月 - 1933年8月
満富俊美：1934年9月 - 1936年12月
横山竹男：1936年12月26日 - 1939年6月
大井又次：1939年7月 - 1941年1月
畠中市蔵：1941年7月 -
渡部政鬼：1942年4月 - 1944年1月

まとめ

大甲郡は、台湾の歴史において重要な役割を果たした地域の一つです。新高港や新高市といった大規模な都市計画が構想されたものの、時代の変遷とともに実現には至りませんでした。しかし、その歴史は、現在の台中海線地区の形成に大きな影響を与えたことは間違いありません。

参考文献

興南新聞社 編『台湾人士鑑』呂霊石、1943年。http://mhdb.mh.sinica.edu.tw/mhpeople/bookImage.php?book=TX。

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