大矢真一

大矢真一

大矢真一（おおや しんいち、1907年11月3日 - 1991年9月14日）は、日本の数学史研究者であり、富士短期大学の名誉教授を務めた人物です。

来歴

神奈川県横浜市で生まれた大矢真一は、1940年に東京物理学校（現在の東京理科大学）を卒業しました。その後、東海科学専門学校の教授を経て、富士短期大学の教授として教鞭を執りました。長年にわたり日本数学史学会の会長を務め、退任後は名誉会長となりました。

1991年9月14日、肺炎のため逝去。

業績

大矢真一は、日本の数学史、特に和算の研究に情熱を注ぎました。彼の研究は、単に過去の数学的知識を掘り起こすだけでなく、それが日本の文化や社会にどのように根ざし、影響を与えてきたのかを明らかにするものでした。また、数学教育にも関心を持ち、子供向けの算数に関する著書も多数執筆しました。

著書

大矢真一は、数多くの著書を通じて、数学の魅力を広く伝えました。以下に代表的な著書をいくつか紹介します。

『数の発展』 (霞ケ関書房、1945)
『数学物語』 (福村書店、1952)
『ピタゴラスの定理』 (東海書房、1952)
『おもしろい算数 1～3年生』 (大日本図書、1955)
『初等数学図説』 (岩崎書店、1958)
『比とその計算』 (新興出版社・啓林館、1959)
『数と計算』 (新興出版社・啓林館、1960)
『数と量』 (新興出版社ほか、1961)
『たのしいさんすう／算数 1-6ねん』 (岩崎書店、1961-1962)
『幾何の証明』 (岩崎書店、1966)
『二進法と電子計算機』 (岩崎書店、1966)
『比較数学史 -事項別-』 (富士短期大学出版部、1966)
『非ユークリッド幾何』 (岩崎書店、1967)
『日本の産業技術 鯨捕りから反射炉まで』 (三省堂、1971)
『日本科学史散歩 江戸期の科学者たち』 (中央公論社、1974)
『日本経済学史の旅 江戸時代の経済学者たち』 (恒和出版、1980)
『和算以前』 (中央公論社、1980)
『和算入門』 (日本評論社、1987)

これらの著書は、数学の歴史や概念をわかりやすく解説し、多くの読者に数学への興味を抱かせました。

校注訳

古典的な数学書の校注訳も手がけ、貴重な文献を現代に蘇らせました。

中根法舳『勘者御伽双紙』訳註 (大紘書院、1942)
村田恒光『算法地方指南』校註 (大紘書院、1943)
村井中漸『算法童子問』訳 (大紘書院、1944)
吉田光由『塵劫記』校注 (岩波文庫、1977)

参考文献

* 板倉聖宣、菊池俊彦「追悼」『科学史研究』第31巻第181号、日本科学史学会、1992年、51-54頁

大矢真一の業績は、日本の数学史研究における重要な礎となっています。彼の著作は、専門家だけでなく、一般の読者にも数学の面白さを伝える貴重な資料として、今後も読み継がれていくことでしょう。

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