大紅湍郡

大紅湍郡について

大紅湍郡（テホンダンぐん）は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の両江道の東北部分に位置する行政区画です。この地域は豆満江の上流に広がり、その周囲には三池淵市や白岩郡、さらに東側には咸鏡北道の延社郡と接しています。地理的には川に恵まれた美しい自然環境に恵まれた場所で、地域の重要な特徴の一つとなっています。

行政区画

大紅湍郡は1つの邑と9つの労働者区（労働者の居住区）を持っています。これらの区画は以下の通りです：

• - 大紅湍邑（テホンダヌプ）
• - 開拓労働者区（ケチョンノドンジャグ）
• - 農事労働者区（ノンサロドンジャグ）
• - 三峯労働者区（サンボンノドンジャグ）
• - 三長労働者区（サムジャンノドンジャグ）
• - 西頭労働者区（ソドゥロドンジャグ）
• - 新徳労働者区（シンドンノドンジャグ）
• - 新興労働者区（シヌンノドンジャグ）
• - 柳谷労働者区（リュゴンノドンジャグ）
• - 紅岩労働者区（ホンアムノドンジャグ）

歴史

この地域はかつて、咸鏡北道の茂山郡の一部として存在しましたが、1978年に大紅湍郡が新たに設立されました。その歴史の中で、特に重要な出来事の一つは1939年に起きた「茂山地区戦闘」です。この戦闘では、金日成が指揮する東北抗日聯軍が満洲から侵入し、日本軍と交戦しました。北朝鮮ではこの戦闘は重要視されており、勝利を称えるために「茂山地区戦闘勝利記念塔」が建立されています。また、金日成が拠点を置いていた「青峰宿営地」では、1961年にかつてのスローガンが記された碑が発見され、保存されています。これは白頭山一帯の「革命の聖地」としての位置付けがなされています。

年表

• - 1978年8月 - 両江道の三池淵郡や咸鏡北道のいくつかの地域から、大紅湍郡が設立される。
• - 1990年6月 - 大紅湍労働者区の一部から柳谷労働者区が成立し、また新興労働者区の一部から開拓労働者区が発足。

産業

大紅湍郡は特にジャガイモの生産が盛んです。1990年代末から2000年代初頭にかけて、金正日の指導により、特有の「大紅湍式農法」が開発され、地域の深刻な食糧問題の解決に寄与しました。この農法の成果として、地域特産のジャガイモを利用した「大紅湍酒」という芋焼酎が生産されており、その風味は「他の酒に劣らない」と評されています。

大紅湍酒は、アルコール度数が約25%で、口当たりが優しく少し甘みがあり、とても飲みやすいとされています。地域の農業と産業は、住民の生活を支える重要な基盤となっています。

結論

大紅湍郡は、その地理的な位置、歴史的な背景、産業の特色を通じて、地域の文化や生活様式を理解する上で欠かせない場所と言えます。これからもこの地で継承される秀逸な農業技術や地域の特産品は、今後の発展に寄与していくことでしょう。

もう一度検索