大聖院 (宮島)
大聖院
大聖院（だいしょういん）は、広島県廿日市市宮島町に位置する真言宗御室派の大本山です。多喜山（たきさん）とも号し、古くから宮島における重要な寺院として知られています。この寺院は、厳島神社の別当寺として祭祀を司り、社僧を統括してきた歴史を持ちます。本尊は三鬼大権現で、観音堂には十一面観世音菩薩、勅願堂には波切不動[[明王]]が祀られています。また、七福神や一願大師など、数多くの仏像が安置されており、訪れる人々を魅了しています。
歴史
大聖院の創建については、詳しい記録が残っておらず、正確なことはわかっていません。伝承によれば、大同元年（806年）に空海（弘法大師）が宮島に渡り、弥山（みせん）で修行し、この寺を開いたとされています。また、鳥羽天皇の勅命により祈願道場となったとも伝えられています。しかし、空海と宮島の関係については、史実としては確認されていません。
古くは「水精寺」と称しており、安元3年（1177年）の文献にその名が見られます。従来の説では、この頃の水精寺は宮島ではなく、対岸の本州側にあったと考えられていました。しかし近年、弥山の本堂周辺から奈良・平安時代の遺物が発見されており、水精寺が古代から宮島島内に存在した可能性も指摘されています。
1887年（明治20年）の火災により、多くの堂宇が焼失しましたが、その後再建され、現在に至っています。
近代以降の出来事
- - 1885年（明治18年）：明治天皇が厳島神社行幸の際、大聖院を行在所として利用されました。
- - 1906年（明治39年）：伊藤博文の寄進により、弥山登山道の大規模な修理が完了しました。
- - 1991年（平成3年）：台風19号により、弥山と本坊に甚大な被害が発生しました。
- - 1998年（平成10年）：復旧を記念した慶讃大法要が執り行われました。
- - 2006年（平成18年）：宮島・弥山の開創1200年を記念し、ダライ・ラマ14世による弥勒[[菩薩]]の開眼法要が営まれました。
伽藍
大聖院の本坊は厳島神社近くに位置し、仁王門、御成門、勅願堂、観音堂、摩尼殿、大師堂、霊宝館など、多くの堂宇が建ち並んでいます。特に、大師堂地下には人工洞窟の遍照窟があり、四国八十八ヶ所霊場の砂を踏むことができる砂踏み道場となっています。境内には、様々な場所に小仏像が祀られており、独特の景観を創り出しています。
また、弥山山頂付近にも大聖院の堂宇があり、弥山本堂、大日堂、霊火堂、三鬼堂などが建立されています。霊火堂は2005年に火災で焼失しましたが、翌年に再建されました。弥山本堂は、広島新四国八十八ヶ所霊場の第八十八番札所となっています。
文化財
大聖院には、以下の重要文化財があります。
- - 梵鐘: 治承元年（1177年）に平宗盛が寄進したとされる銘がありますが、これは後世の追刻とされています。しかし、鐘自体は平安時代に遡る古鐘です。撞座の位置が高い点や、最上部の竜頭が撞座を結ぶ線と直交する点など、古い鐘の特徴を備えています。
- - 木造不動[[明王]]坐像: 高さ98.7cmの一木造で、平安時代中期、10世紀後半の作と推定されています。1920年（大正9年）に仁和寺真乗院から移されました。
行事
大聖院では、年間を通して様々な行事が執り行われています。
交通アクセス
前後の札所
- - 中国三十三観音[[霊場]]：13番 三瀧寺 - 14番 大聖院 - 特別霊場 般若寺
- - 山陽花の寺二十四か寺：24番 観音寺 - 1番 大聖院 - 2番 二井寺
周辺情報
大聖院の周辺には、以下の観光スポットがあります。
- - 大願寺
- - 厳島神社
- - 宮島水族館
- - 弥山
参考文献
- - 『日本歴史地名大系 広島県の地名』、平凡社
- - 『角川日本地名大辞典 広島県』、角川書店
- - 『解説版新指定重要文化財4 工芸Ⅰ』、毎日新聞社、1981（梵鐘の解説あり）
- - 「新指定の文化財」『月刊文化財』358号、第一法規、1993（不動[[明王]]像の解説あり）
外部リンク
大聖院は、その歴史と文化、美しい景観で訪れる人々を魅了する、宮島を代表する寺院の一つです。
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