大芝 亮(おおしば りょう)
日本の
国際政治学者として、国際機構論を専門とする大芝亮氏は、
1954年に
兵庫県で生まれました。現在、
一橋大学名誉教授であり、
広島市立大学広島平和研究所の所長を務めています。また、
イェール大学で政治学博士(Ph.D.)の学位を取得しています。
経歴
1972年に六甲高等学校を卒業後、
一橋大学法学部に進学し、
細谷千博氏のゼミナールで学びました。1976年に同大学を卒業し、大学院法学研究科修士課程を修了。その後、博士課程に進みましたが、1983年に退学しました。研究を深める中で、1985年には
上智大学法学部で助教授に着任。1987年には母校である
一橋大学法学部助教授に就任し、1989年には
イェール大学から政治学博士号を取得しました。
一橋大学では、1994年に法学部教授、1999年には大学院法学研究科教授へと昇格。教育・研究の要職を歴任し、2008年には大学院法学研究科長・法学部長、さらに
一橋大学日本法国際研究教育センター長を兼任しました。大学運営にも深く関わり、2010年から2年間、国立大学法人
一橋大学の理事・副学長として、総務、研究、国際交流といった広範な分野を担当しました。2012年には
一橋大学国際共同研究センター長も務めています。
2015年に
一橋大学を定年退職した後は、
青山学院大学国際政治経済学部教授に就任。翌2016年には
青山学院大学国際交流センター所長も務めました。2017年には
一橋大学名誉教授の称号を授与されています。そして、2018年からは
広島市立大学広島平和研究所所長および大学院平和学研究科長を務め、平和研究の分野で指導的役割を果たしています。
この間、
国立民族学博物館地域研究展客員教授、財団法人地球産業文化研究所研究委員会委員長なども務め、早稲田大学、
多摩大学、
島根県立大学といった他大学でも教鞭をとるなど、幅広い教育・研究活動を行っています。
研究・人物
大芝亮氏は、国際機構の分析において、計量分析の手法を積極的に用いることで知られています。このアプローチにより、国際関係や国際組織の動向を客観的かつ定量的に捉える研究を進めています。教育者としても多くの後進を育成しており、
一橋大学教授の
秋山信将氏や
明治大学教授の金ゼンマ氏らが指導学生として知られています。2004年には、
一橋大学の
21世紀COEプログラム「ヨーロッパの革新的研究拠点」において、拠点副代表を務めるなど、研究プログラムの推進にも貢献しました。
学会活動・社会的活動
学会活動においては、2004年から2006年まで
日本国際政治学会の理事長を務め、学会の運営と発展に寄与しました。また、日本国際連合学会の理事兼編集委員、日本学術会議連携会員、日本平和学会理事なども歴任しています。社会的活動にも積極的で、EUインスティテュート東京コンソーシアム理事、Friends of the Earth Japan理事、公益財団法人
一橋大学後援会評議員、社会的責任に関する円卓会議運営委員、模擬国連会議全米大会派遣事業顧問、独立行政法人大学評価・学位授与機構学位審査委員、
広島県・総合研究開発機構平和政策研究会委員など、多岐にわたる委員会の活動に関わっています。
主な著作
大芝亮氏は、国際政治、国際機構、平和研究に関する数多くの著作を執筆・編集しています。主なものを以下に挙げます。
単著
『国際組織の政治経済学 - 冷戦後の国際関係の枠組み』(
有斐閣, 1994年)
共著
『国際政治経済学・入門』シリーズ(
野林健他との共著、
有斐閣)
編著
『国際政治学入門』(
ミネルヴァ書房, 2008年)
共編著
『国際政治経済資料集』(滝田賢治との共編著、有信堂)
『アメリカが語る民主主義』、『アメリカのナショナリズムと市民像』(大津留(北川)智恵子との共編著、
ミネルヴァ書房)
『記憶としてのパールハーバー』(
細谷千博・
入江昭との共編著、
ミネルヴァ書房)
『グローバル・ガバナンス -「新たな脅威」と国連・アメリカ』(横田洋三他との共編著、
日本経済評論社)
『平和政策』(
藤原帰一・山田哲也との共編著、
有斐閣)
『衝突と和解のヨーロッパ - ユーロ・グローバリズムの挑戦』(
山内進との共編著、
ミネルヴァ書房)
『オーラルヒストリー日本と国連の50年』(
明石康他との共編著、
ミネルヴァ書房)
『国際政治経済 -「グローバル・イシュー」の解説と資料』(滝田賢治との共編著、有信堂)
『日本の国際政治学(2)国境なき国際政治』(古城佳子・石田淳との共編著、
有斐閣)
* 『パワーから読み解くグローバル・ガバナンス論』(
秋山信将他との共編著、
有斐閣)
これらの著作を通じて、国際政治学、特に国際機構論の分野における理論的・実証的な貢献を行っています。その研究と教育、そして社会への積極的な関与は、日本の国際政治学界において重要な位置を占めています。