大角岑生

大角岑生の生涯と業績

大角岑生（おおすみ みねお）は、1876年5月1日に愛知県で生まれた日本の海軍大将であり、政治家、華族としても知られています。その経歴は軍人としての卓越した能力と、政治的な動きが交差するものであり、彼の存在は日本海軍の歴史に大きな影響を与えました。

幼少期から海軍兵学校まで

彼は愛知一中を卒業後、海軍兵学校に入校し、1897年に24期を3位の成績で卒業しました。同学年には、後の海軍大将山本英輔もいました。大角は「比叡」で遠洋航海を経験した後、「松島」での航海長などを歴任し、日露戦争といった重要な歴史的な局面にも関与しました。

軍政官としてのキャリア

大角は明治40年に海軍省軍務局で軍政官としてのキャリアをスタートしました。彼はその後、ドイツに駐在し、帰国後は東郷平八郎元帥の副官を務めるなど、国際的な舞台でも活躍しました。特にフランスでの2年間の滞在は、彼の国際感覚を養う大きな経験になりました。彼はパリ講和会議にも随員として参加し、日本の南洋諸島獲得が承認される瞬間に立ち会っています。

海軍の要職を歴任

大角は大正11年には軍務局長、昭和3年には第二艦隊の司令長官を歴任し、連合艦隊と海軍省の重要な役職を交互に経験しました。次官として大臣を補佐し、艦隊派と条約派の対立の中で冷静にことに対処する姿勢が求められました。

五・一五事件とその後の政治的決断

犬養内閣の海軍大臣として大角は五・一五事件に直面し、総理大臣の暗殺という衝撃的な事態に関与することになりました。彼は、事件後の収拾を図るために長老の岡田啓介を後任に指名するなど、政治的なサバイバルに追われることとなります。

二・二六事件と指導力の不足

二・二六事件では、海軍出身の首相や内大臣が襲われる中で、彼は有効な指示を出すことができず、混乱を引き起こしました。この時、大角は冷静な判断を下せず、現場指導を行った他の指揮官たちと対照的に、困惑し続けていました。

最期と遺されし者たち

最終的に、昭和16年に大角は広州で飛行機事故に遭遇し、命を落とします。この出来事は日本海軍の一時代の終わりを象徴するものでした。遺体は羽田に戻り、国葬が行われました。大角の生涯は、海軍の歴史の中で重要な一章として、今も多くの教訓を人々に伝えています。

栄典と受賞歴

大角は多くの栄典を受けており、位階では正二位、勲等では勲一等を得ています。さらに彼は様々な国際的な勲章も受賞しており、これは彼の国際的な視野と軍人的資質を誇示しています。特に、リットン調査団の報告に対する彼の反応や外交問題への処理は、彼の政治家としての側面を強く示すものとなりました。

このように大角岑生の人生は、日本の軍政史における重要な位置を占めており、彼の影響は時代を超えるものとなっています。彼の行動や判断は、海軍の運用だけでなく、国際関係においても多くの示唆を与えているのです。

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