条約派

条約派の概要

大日本帝国海軍内で形成された条約派は、海軍省内の一派閥であり、特にロンドン海軍軍縮条約の締結を契機にその存在感を増しました。条約派は、海軍省側が主導する「条約妥結やむなし」という立場を取った一方で、艦隊派はこれに反対し、軍令部側の意見を代弁する形で対立構造が生まれました。この対立は、最終的には統帥権干犯問題というより深刻な問題へと発展していきました。

条約派のメンバー

具体的なメンバーとしては、財部彪、谷口尚真、山梨勝之進、左近司政三、寺島健、堀悌吉、下村正助などが挙げられます。彼らは条約派の中心的な存在ではありましたが、条約締結後には艦隊派の要求に屈した大角岑生の人事によって多くが予備役に編入されました。このため、条約派の影響力は次第に薄れていくことになります。

条約派と艦隊派の関係

条約派と艦隊派の間での対立は、団体内の権力闘争を伴い、海軍内部の方向性にも大きな影響を与えました。艦隊派はより戦略的な観点から海軍の拡張を主張しましたが、条約派は軍縮の必要性を強調し、やむを得ず条約を結ぶ立場を取ることで、経済的な現実を重視しました。このような分裂状態は、戦後の日本の軍事戦略にも影響を及ぼすこととなります。

条約派以外のメンバーの存在

条約派には、米内光政のように直接政治的判断を下す立場にない者や、井上成美のように軍令部への抵抗が強い者も含まれます。このことから、条約派の定義は流動的であり、状況によっては日独伊三国同盟反対派や対米避戦派を encompasseすることもあります。古賀峯一や長谷川清といった人物も、条約派に含まれることがあるのです。

山本五十六の位置

山本五十六は、戦後の日本においては対米避戦の立場から反対派とされることが多いですが、ロンドン軍縮会議では艦隊派に近い強硬な意見を持っていました。このように、彼の立場も時と場合によって異なり、条約派と艦隊派の境界は曖昧です。さらには、坂野常善や岩村清一、杉山六蔵、小林仁といった他のメンバーについても同様のことが言えるでしょう。

最後に

結局のところ、条約派と艦隊派は大日本帝国海軍の歴史において重要な位置を占めていますが、明確な定義がなされず、それぞれの思想が時代とともに変化していったことが分かります。これらの派閥の対立や融合は、単なる軍事的な観点を超えて、日本の戦略と外交に多大な影響を及ぼしました。

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