大谷暢顯

大谷暢顯（おおたに ちょうけん）は、1930年3月27日に誕生した浄土真宗の僧侶です。法名は「淨如」で、真宗大谷派の第25代門首を務めました。また、元全日本仏教会会長でもあります。上皇明仁の従兄弟にあたるという、皇室とも縁のある家柄です。兄に大谷光紹と大谷暢順、弟に大谷光道がいます。

暢顯は、第24代法主（後に門首）である大谷光暢（闡如）の三男として生まれました。母は香淳皇后の妹である智子です。桃山農学校を卒業後、大谷高等学校に編入し、その後京都大学農学部で聴講生として学びました。

1966年に得度し、院号を「慈心院」、法名を「闡淨」と名告りました。1969年には、開申事件をきっかけに大谷家と真宗大谷派内局との確執が表面化し、「お東騒動」と呼ばれる内部紛争が始まりました。当時、暢顯は法主継承権第五位の連枝でしたが、品川区西五反田のエレクトロニクス会社に勤務していたため、この紛争には直接巻き込まれることはありませんでした。

1985年に本山に戻り、鍵役として法務に専念するようになります。1987年には、内局が宗教法人「本願寺」を解散し、宗教法人「真宗大谷派」に一体化するという宗本一体化が行われました。この時、「本願寺」（通称「東本願寺」）の正式名称は「真宗本廟」となりました。

1993年4月13日、父である光暢が亡くなり、お東騒動による門首継承問題が発生しました。この問題については、「お東騒動#真宗大谷派の門首」に詳しい経緯が記されています。

1996年7月31日、暢顯は先代門首である光暢の後継として、真宗大谷派第25代門首を継承し、法名を「淨如」としました。同年11月21日には、門首継承式が執り行われています。2006年11月21日には、真宗本廟・阿弥陀堂にて、門首就任十周年記念式典が開催されました。

2011年には、宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌が厳修されました。

暢顯には子供がいなかったため、門首就任以来、後継者が長らく未定となっていましたが、2014年4月、いとこにあたる大谷暢裕が次期門首に就任することが決定しました。暢裕は、光暢の弟である暢慶の息子で、当時ブラジルに在住し、鍵役兼開教司教を務めていました。その後、2020年6月30日に暢顯は門首を退任しました。

このように、大谷暢顯は激動の時代に真宗大谷派の門首を務め、宗派の歴史において重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。

参考文献:
田原由紀雄『東本願寺三十年紛争』白馬社、2004年。ISBN 978-4-938651-51-0。

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