大豊町

大豊町：四国山地の秘境に息づく歴史と自然

高知県長岡郡に位置する大豊町は、四国山地の中央部、吉野川中流域に広がる町です。町域の約9割が森林で覆われ、奥工石山、奥神賀山など、四国百名山に数えられる山々が連なり、雄大な自然に恵まれています。吉野川や穴内川などの河川が流れ、龍王の滝など、変化に富んだ地形が特徴です。

高齢化と人口減少

大豊町は、かつて日本で唯一65歳以上の高齢化率が50％を超える「限界自治体」として注目されました。2019年の時点で高齢化率は58.4％に達しており、将来の人口減少も懸念されています。この課題に対し、町は独自の対策を講じています。

地理と交通

大豊町は、高知市から瀬戸内地方へと抜ける交通の要衝に位置しています。JR土讃線が町内を走り、大杉駅には特急列車も停車します。また、高知自動車道の大豊ICがあり、国道32号、国道439号、国道492号などが町内を通過しています。嶺北観光自動車の路線バスが運行され、地域内交通を支えています。町内には、道の駅大杉もあり、観光客の拠点となっています。

歴史と文化

大豊町は、1955年に東豊永村、西豊永村、大杉村、天坪村の合併により誕生しました。その後、町制施行を経て、現在に至ります。国宝である豊楽寺薬師堂をはじめ、旧立川番所書院（国の重要文化財）、推定樹齢3000年の杉の大杉（国の特別天然記念物）など、歴史的建造物や自然遺産が数多く残されています。また、大豊町には、万葉植物園がある定福寺や、梶ヶ森県立自然公園、ゆとりすとパークおおとよなどの観光スポットもあります。

教育と医療

大豊町には、大豊町立大豊学園（義務教育学校）、大杉中央病院などの教育・医療機関があります。大豊町立民俗資料館には、「土佐豊永郷及び周辺地域の山村生産用具」（国の重要有形民俗文化財）が保管・展示されています。

経済

大豊町の経済は、林業が中心です。中四国最大の製材工場である高知おおとよ製材など、林業関連の企業が進出しています。また、近年は観光業も重要な産業として注目されています。町独自の宅配サービス「おおとよ宅配サービス」も地域経済を支えています。

行政

大豊町の行政は、町長を首長とする町役場が行っています。警察は高知東警察署、消防は嶺北消防署大豊分署が管轄しています。町内には、大豊郵便局、豊永郵便局などの郵便局があります。

著名な人物

大豊町ゆかりの著名人には、考古学者の松浦佐用彦、陸軍大将の山下奉文、漫画家の徳弘正也などがいます。また、歌手美空ひばりは、幼少期に大豊町で交通事故に遭い、療養をしたというエピソードが残っています。

まとめ

大豊町は、高齢化という課題を抱えながらも、豊かな自然と歴史文化を活かした地域づくりに取り組んでいます。国宝や重要文化財、日本一の大杉といった貴重な観光資源も魅力の一つです。今後も、独自の地域活性化戦略により、この町の未来が拓かれていくことが期待されます。

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