長岡郡

長岡郡の歴史：古代から現代まで

長岡郡は、高知県（旧土佐国）に存在した郡です。現在の本山町と大豊町を主な地域としていましたが、歴史を遡ると、その範囲は現在の南国市、高知市、香美市、そして土佐[[郡]]土佐町の一部にまで及んでいました。

古代の長岡郡

長岡郡の設置時期は正確には分かっていませんが、西大寺旧境内から出土した宝亀2年（771年）以前の木簡に「長岡」郡の名が記されていることから、それ以前から存在していたことは明らかです。また、石神遺跡からは「□岡評」と記された木簡（□は判読不能）が出土しており、この「□」が「長」と解釈できれば、7世紀の評制期に設置された可能性も示唆されます。平安時代には、土佐国の国府が長岡郡内に置かれていたと推測されます。

近世以降の沿革

明治維新前、長岡郡の全域は土佐高知藩の領地でした。当時の村々は「旧高旧領取調帳」に記録されており、御免町、種崎村など多数の村落が存在していました。明治4年（1871年）の廃藩置県により高知県の管轄となり、明治9年（1879年）には郡区町村編制法の施行に伴い、行政区画としての長岡郡が正式に発足しました。郡役所は、大埇村に置かれました。

町村制以降の変遷

明治22年（1889年）4月1日の町村制施行により、長岡郡は1町24村に分割されました。後免町（現在の南国市の一部）、西本山村（後の本山町）、三里村（現在の高知市の一部）、十市村（現在の南国市の一部）などが誕生しました。その後、合併や町制施行、市への編入などが繰り返し行われ、郡域は徐々に変化していきました。

特に昭和30年（1955年）と昭和34年（1959年）の合併は郡域に大きな変化をもたらしました。多くの村々が合併し、新たに本山町、大豊村（後の大豊町）、そして南国市が誕生しました。この合併によって長岡郡から南国市が分離したことで、長岡郡の範囲は大きく縮小しました。

現在の長岡郡

現在の長岡郡は、本山町と大豊町のみからなる小さな郡となっています。かつては広大な範囲を有し、土佐国の歴史に深く関わってきた長岡郡ですが、時代の変遷とともにその範囲は縮小し、現在ではその歴史を偲ぶのみとなっています。しかし、その歴史的変遷は、高知県の歴史を理解する上で重要な役割を果たしています。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 39 高知県、角川書店、1986年2月1日。ISBN 4040013905。
旧高旧領取調帳データベース
奈良文化財研究所『評制下荷札木簡集成』、東京大学出版会、2006年。
山下信一郎「古代土佐国の郡の変遷に関する覚書」、奈良文化財研究所・編集発行『文化財学の新地平』、2013年。

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