大阪カテドラル聖マリア大聖堂

大阪カテドラル聖マリア大聖堂：歴史と芸術が織りなす聖堂

大阪市中央区玉造に建つ大阪カテドラル聖マリア大聖堂は、カトリック玉造教会の大聖堂であり、カトリック大阪大司教区の司教座聖堂です。そのため「大阪カテドラル」の愛称で親しまれています。聖堂の守護聖人は無原罪の聖母マリアです。

1894年の創立以来、幾多の変遷を経てきました。初代の聖アグネス聖堂は、第二次世界大戦の大阪大空襲で焼失。現在の聖堂は、1963年に再建されました。

聖堂の周辺環境も歴史に彩られています。西側の道路沿いは越中町という旧町名で、豊臣政権時代に細川越中守忠興の屋敷があったことに由来します。聖堂の北西には、細川ガラシャ夫人が最期を迎えられたと伝えられる越中井があります。この歴史的背景を反映して、聖堂内には細川ガラシャを描いた絵画が飾られています。

聖堂の内部は、芸術性の高い作品で満たされています。堂本印象による「最後の日のガラシア夫人」や聖堂正面の壁画「栄光の聖母マリア」、そして「高山右近」といった作品は、聖堂に荘厳さを与えています。また、羽淵紅州による100を超えるステンドグラスや、オーストリアの彫刻家ルンガルチエによる十字架や聖像など、多くの芸術家たちがその才能を注ぎ込んだ空間となっています。さらに、2400本のパイプを備えた巨大なパイプオルガンは、聖堂の象徴的な存在です。

建築面では、近代建築家・長谷部鋭吉の遺作の一つとして知られています。力強い幾何学的なデザインと、洗練された空間構成が特徴です。

通常、司教座聖堂には大司教館（大司教公邸）が併設されますが、大阪カテドラル大司教館は、長らく兵庫県西宮市甲陽園にありました。しかし、阪神・淡路大震災による損傷を機に、現在は玉造教会の敷地内に移転しています。これは、戦災で玉造教会が焼失した際に、一時的にカトリック夙川教会に司教座が置かれていたこととも関連しています。

2023年、カトリック大阪大司教区とカトリック高松司教区が統合され、カトリック大阪高松大司教区が設立されました。これに伴い、大阪カテドラル聖マリア大聖堂は大阪高松カテドラル聖マリア大聖堂へと名称が変更されました。現在の大阪大司教は、枢機卿トマス・アクィナス前田万葉です。

歴史、芸術、そして宗教が融合した大阪カテドラル聖マリア大聖堂は、単なる聖堂を超えた存在感を放ち、多くの来訪者を魅了し続けています。その荘厳な空間と、そこに込められた歴史的、芸術的価値は、訪れる人々に深い感動を与え続けるでしょう。アクセスは、Osaka Metro長堀鶴見緑地線・JR大阪環状線玉造駅、またはOsaka Metro中央線・JR大阪環状線森ノ宮駅から徒歩圏内です。

もう一度検索