大阪市立茨田南小学校

大阪市立茨田南小学校は、大阪市鶴見区に所在する公立の学び舎です。その歴史は古く、地域の教育の中心として長く親しまれてきました。

創立の経緯

学校の起源は、明治時代初期にさかのぼります。1875年（明治8年）3月、当時の茨田郡に属していた5つの村が共同で設立した学校組合立諸口小学校が、現在の諸口村の地に開かれました。これが本校の揺るぎない源流とされています。その後、学校の制度が何度か改められ、1888年（明治21年）には茨田郡諸口尋常小学校と名を改めています。

そして、本校の「創立」とされる重要な転換点が訪れます。1894年（明治27年）9月、それまで続いていた学校組合が解消され、諸堤村に新たな校舎が建設されました。この時に、同じく学校組合立諸口小学校を源とする古宮尋常小学校、現在の大阪市立茨田北小学校が分かれて設立されました。この校舎新設と学校組合の解消をもって、現在の茨田南小学校の歴史が本格的に始まったと位置づけられています。

歴史と発展

明治後期から昭和初期にかけて、学校は時代の変化とともに名称を幾度か変更しています。1896年（明治29年）には北河内郡友愛尋常小学校となり、1911年（明治43年）には高等科が設置され、北河河内郡友愛尋常高等小学校となりました。さらに1913年（大正2年）には北河内郡諸堤尋常高等小学校へと改称しています。この時期には、地域の教育を担う重要な拠点としての役割を果たしていました。

しかし、学校の歴史には厳しい試練もありました。1934年（昭和9年）9月、日本列島を襲った室戸台風により、本校の木造校舎一棟が激しい暴風雨のために倒壊するという悲惨な出来事が発生しました。この災害で、残念ながら死傷者が出ています。この教訓を経て、学校は地域の安全を考慮し、1937年（昭和12年）2月には現在の場所へと校舎を移転しました。

その後、1939年（昭和14年）6月には、諸堤村と古宮村が合併して茨田町が誕生したことに伴い、学校名も北河内郡茨田南尋常高等小学校へと変更されました。太平洋戦争中の1941年（昭和16年）には国民学校令が施行され、北河内郡茨田南国民学校となります。戦後の学制改革により、1947年（昭和22年）には茨田町立茨田南小学校として新たなスタートを切りました。

本校の歴史において、もう一つの大きな節目となったのは、大阪市への編入です。1955年（昭和30年）4月、茨田町が大阪市に編入されたことで、学校は大阪市立茨田南小学校と改称し、現在まで続く名称となりました。

児童数の増加と学校分離

高度経済成長期に入ると、学校周辺地域の宅地化が急速に進み、特に市営住宅の建設なども相まって、児童数が飛躍的に増加しました。1960年代には、一時的に児童数が2000人を超えるマンモス校となり、教室不足などが深刻な課題となりました。この過密状態を解消するため、学校の分離・新設が繰り返されることになります。

まず、1967年（昭和42年）には校地が拡張されました。そして、1969年（昭和44年）には、現在の鶴見区横堤にあたる地域に分校が設置されました。この分校は、わずか2年後の1971年（昭和46年）に大阪市立茨田西小学校として独立した学校となりました。

さらに、児童数の増加は続き、1977年（昭和52年）には大阪市立横堤小学校が本校から分離して開校しました。そして、比較的近年である1998年（平成10年）にも、大阪市立茨田小学校が本校から分離独立しています。このように、茨田南小学校は長年にわたり、地域の児童数の増加に対応するため、多くの新しい学校を生み出す母体としての役割を果たしてきました。

学校施設も整備が進められ、1999年（平成11年）にはパソコン教室が設置され、新しい講堂も完成するなど、教育環境の向上も図られてきました。

現在の状況

現在の大阪市立茨田南小学校の通学区域は、大阪市鶴見区の諸口1丁目および3丁目の全域、そして諸口2丁目・4丁目と徳庵1丁目のそれぞれ一部となっています。本校を卒業した児童たちは、原則として大阪市立茨田中学校に進学することになっています。

交通アクセスとしては、Osaka Metro長堀鶴見緑地線の横堤駅から南東へ約800m、JR片町線（学研都市線）の徳庵駅から北北西へ約1000mの位置にあり、地域の子どもたちが通学しやすい立地となっています。

大阪市立茨田南小学校は、明治初期の学校組合に始まり、度重なる改称や移転、そして特に高度成長期以降の劇的な児童数増加に伴う多くの学校分離を経て、現在の姿に至りました。地域の発展と共に歩み、教育を支え続けてきた歴史ある小学校です。

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