大黒町 (鹿児島市)

鹿児島市大黒町

鹿児島市大黒町は、市の中心部に位置する町です。郵便番号は892-0825で、2020年4月1日時点で308人の人口と241世帯が暮らしています。町内全域で住居表示が実施されています。

歴史

江戸時代

大黒町は、江戸時代には鹿児島城下の主要な町の一つでした。特に下町を管轄する下町会所が置かれ、城下三町（上町、下町、西田町）の中心として機能していました。松原通町にあった南林寺の門前町として賑わい、多くの市が立ちました。町の名前は「天保城下絵図」にも見られ、当時は東側が海に面していたと記されています。

大黒町の成立については、大道寺友山の著書「落穂集」に記述があります。それによると、城下の用地不足から前之浜（現在の鹿児島城付近の浜）に築地を設ける工事が行われましたが、工事が未完成のまま人が住み始めたため、町として設置されたとされています。

また、町内には下町会所と火見櫓が設けられ、下町会所には町政の中心となる三町惣年寄が任じられていました。

明治時代以降

明治5年（1872年）には、鹿児島で初めての郵便取扱所が大黒町内に設置されました。これは鹿児島における最初の官庁施設であり、1875年（明治8年）には鹿児島郵便局へと発展しました。その後、郵便局は山下町、武へと移転し、現在の鹿児島中央郵便局の前身となっています。

1889年（明治22年）の市制施行により、鹿児島市が誕生。それに伴い、大黒町は鹿児島市の一部となりました。1914年（大正3年）には鹿児島勤倹銀行が金生町から大黒町に移転し、1941年（昭和16年）に鹿児島銀行に買収されるまで、町は商業の中心地としても発展しました。1914年（大正3年）の時点で、大黒町には30以上の商店があったとされています。

1962年（昭和37年）に住居表示に関する法律が施行されたことを受け、1963年（昭和38年）には大黒町全域で住居表示が実施されました。

地理

大黒町は、鹿児島市の中央部に位置し、北に金生町、南に新町、西に呉服町、東に堀江町と隣接しています。町の中央を南北に大門口通りが通っています。

人口

国勢調査によると、1995年以降の人口は以下の通り推移しています。詳細は省略します。

施設

公共

大黒町公民館

金融

三井住友銀行鹿児島支店

商業

スーパーハルタいづろ店

学校

市立小・中学校への通学は、定められた学区（校区）によって指定されます。

交通

道路

市道: いづろ通り、大門口通り

著名な出身者

川崎正蔵（1836年 - 1912年）：明治時代の実業家で、川崎重工業の創設者です。大黒町の商家で生まれ、藩吏として米を扱っていました。その後、貿易や海運業に従事し、帝国郵便汽船会社の副社長を務めました。1878年（明治11年）には東京築地に川崎築地造船所を創業し、これが後の川崎造船所、そして現在の川崎重工業へと発展しました。また、貴族院多額納税者議員としても活躍し、神戸川崎財閥を築きました。誕生地である大黒町には「川崎正蔵翁誕生地」の石碑が設置されています。
村野鐵太郎（1929年 - 2020年）：映画監督。『犬シリーズ』、『富士山頂』、『男一匹ガキ大将』、『遠野物語』などの作品で知られています。1995年には紫綬褒章を受章しました。

脚注

詳細は参考文献を参照してください。

参考文献

鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅰ』 1巻、鹿児島市、1969年2月28日
鹿児島市史編さん委員会『鹿児島市史Ⅱ』 2巻、鹿児島市、1970年3月25日
南日本新聞『鹿児島市史Ⅳ』 4巻、鹿児島市、1990年3月15日。
「角川日本地名大辞典」編纂委員会「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」『角川日本地名大辞典』第46巻、角川書店、日本、1983年3月1日。
『日本歴史地名体系 47 鹿児島県の地名』平凡社、1998年。
南日本新聞社鹿児島大百科事典編纂室『鹿児島大百科事典』南日本新聞、1981年。

関連項目

* 大黒町 (曖昧さ回避)

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