天の真名井

天の真名井：鳥取の清流、歴史と自然が織りなす名水

鳥取県米子市淀江町高井谷に湧き出る「天の真名井」は、その名の通り、天から授かったかのような清らかな地下水です。1985年には名水百選に選定され、周辺地域が「水の郷百選」にも選ばれていることから、その水質の高さ、そして地域における重要性がうかがえます。

地理と水源

淀江町は、新期大山の側火山である孝霊山の溶岩流が日本海に流れ出した地点に位置しています。年間降水量は3,000mmにものぼり、この豊富な雨雪が、孝霊山周辺の風化が進んだデイサイト（花崗岩、角閃石、安山岩などを含む火山岩）という浸透性の高い地層に浸透し、地下水として蓄えられます。その地下水が、「天の真名井」をはじめ、「本宮の泉」などの湧水として地表に現れるのです。「天の真名井」の水温は14℃、日量は2,500トン、「本宮の泉」は日量30,000トンにも及び、これらが二級河川である宇田川の源流となっています。

利用と整備

1990年には周辺環境整備が行われ、現在では、天の真名井の清冽な水は、地域住民の上水道水源として、また、農地の灌漑用水やニジマスの養殖などにも利用されています。河川や水源周辺には、水車小屋や東屋、遊歩道、駐車場などが整備され、自然と触れ合いながら憩える空間となっています。

由来と歴史

天の真名井周辺には、国の史跡に指定されている向山古墳群や妻木晩田遺跡などがあり、古くから人々が定住していたことがわかります。この地で、人々は清らかな水を生活に欠かせないものとして利用し、その恵みに感謝してきたことでしょう。いつしか、この地の清浄な水は「真名井（まなまい）」と呼ばれるようになり、中でも最高の敬称である「天の真名井」と名付けられたと考えられています。「真名井」とは、神聖な井戸を指す言葉です。

アクセス

天の真名井を訪れるには、山陰本線淀江駅で下車し、バス「高井谷」行きに乗り、「高井谷」バス停で下車後、徒歩で約5分かかります。車の場合は、米子道路淀江ICから大山広域農道高井谷を経由してアクセスできます。

まとめ

「天の真名井」は、自然の恵みと人々の歴史が深く結びついた、貴重な場所です。豊かな自然と歴史、そして人々の暮らしが調和した、この地を訪れることで、日本の原風景に触れることができるでしょう。名水百選に選ばれたその水質はもちろん、整備された環境も相まって、心安らぐひとときを過ごすことができるでしょう。 周辺には、白鳳の里伯耆古代の丘公園などもあり、歴史散策と自然体験を組み合わせた旅を満喫できます。

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