天北栄仮乗降場

天北栄仮乗降場（てんぽくざかえかりじょうこうじょう）

かつて北海道枝幸郡中頓別町栄の地に、日本国有鉄道（国鉄）天北線の天北栄仮乗降場（てんぽくざかえかりじょうこうじょう）が存在した。この仮乗降場は、周辺地域の利用者の減少という理由により、1965年（昭和40年）10月をもって廃止された（正確な廃止日付は記録に残っていない）。その名称にある「天北」の後に続く「栄」の読み方については、地形図上の表記では「てんぽくさかえ」ではなく、「てんぽくざかえ」と濁る読み方が用いられていた点が特筆される。

周辺環境と立地

天北栄仮乗降場は、最も近い国道275号から直線距離でおよそ400メートル隔たった、比較的閉鎖的な谷間に位置していた。現在では、この仮乗降場があった場所の周辺には道路すら整備されておらず、完全に無人化された地域となっている。かつては列車が発着していたにもかかわらず、現在は人の気配もほとんど感じられない静寂に包まれている。周辺には以下の地理的特徴が存在する。

国道275号
栄川
天北峠
天北トンネル

沿革

この仮乗降場は、以下のような短い歴史をたどった。

明確な時期は記録に残っていないが、国有鉄道北見線の仮乗降場として設置された（局設定による）。
1961年（昭和36年）4月1日：この路線の名称が北見線から天北線へと改称され、天北栄仮乗降場もそれに伴い天北線所属となった。
1965年（昭和40年）10月：周辺地域の利用者減少を理由に廃止された。

廃線後の痕跡

仮乗降場跡の南側は、天北トンネルの浜頓別側出口に近接している。1997年（平成9年）および2010年（平成22年）の時点では、この天北トンネルの出入口を保護するためのスノーシェッドが残存していたことが確認されている。仮乗降場自体の簡素な設備は時間の経過とともに自然に還りつつある可能性が高いが、トンネル関連の構造物が、かつてこの地に鉄道が存在した証として比較的長く残されていたようである。現在は完全に無人地帯となっているため、駅が存在した当時の様子をうかがい知る手掛かりは極めて少ない状況にある。

隣の駅

日本国有鉄道 天北線における、天北栄仮乗降場の隣接駅は以下の通りである。

上音威子府駅 - 天北栄仮乗降場 - 小頓別駅

短い期間のみ存在した仮乗降場であり、利用者減少という形でその役割を終えた天北栄仮乗降場は、現在では地図上でその名前を確認できるのみとなっている。特定地方交通線として廃止された天北線の歴史の一コマとして、静かにその存在を留めている。

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