天尾完次

天尾 完次

天尾 完次（あまお かんじ、生年1933年9月20日 - 没年2011年7月3日）は、日本の映画プロデューサーとして名高い存在です。彼は山口県で生まれ、早稲田大学の文学部国文科を卒業しました。

経歴の概要

若い頃は小説家を志していましたが、石原慎太郎の『太陽の季節』に影響を受け、文学の道を断念しました。その後、映画業界に進むことを決意し、1956年に東映に入社しました。映画制作の初期には、京都撮影所で数多くの時代劇の進行主任を務め、特に内田吐夢監督のもとで多くの経験を積みました。

彼のプロデューサー業のスタートとなった作品は、1962年に発表された『若さま侍捕物帖 お化粧蜘蛛』でした。続く1960年代には『十三人の刺客』や『武士道残酷物語』、『十一人の侍』など、映画界の評価は高かったものの、興行成績は期待を下回ることが多かったのです。社内では「良い映画を作るが、観客を引き寄せる力がないプロデューサー」と評されていました。

画期的な成功

映画業界における天尾の転機は1968年に訪れました。当時、ピンク映画の隆盛を受け、岡田茂からの指示でそのジャンルへの参入を果たします。文学青年的な自負を抱きつつも、石井輝男監督との初の共同作業となった『徳川女系図』は大ヒットを記録しました。この成功を契機に、天尾は石井監督とのコラボレーションを深め、次々と商業的成功を収めることとなります。『徳川女刑罰史』や『徳川いれずみ師 責め地獄』など、彼のプロデュースのもとで製作された作品はすべて高い評価を受け、多くの観客を動員しました。

しかし、天尾と石井の異常性愛に関する作品群は、批評家や社会から強い非難を浴びる結果となります。特に撮影所内外からの孤立した環境で、彼は任侠映画の路線に戻り、池玲子や杉本美樹を起用したピンキー・バイオレンス映画にシフトを図りました。特に『温泉みみず芸者』では、ポルノという言葉を初めて日本に広め、池玲子を「ポルノ女優」として売り出しました。

後の業績

1973年には東映東京撮影所の企画部長に就任し、『新幹線大爆破』や菅原文太主演の『トラック野郎』シリーズなど、話題となる多数の作品を世に送り出します。これらの作品は日本映画界においても大ヒットを記録しており、彼の名声を確固たるものにしました。

天尾完次は2011年に亡くなりましたが、2013年には彼の功績を称える特集上映「追悼！天尾完次」がシネマヴェーラ渋谷で開催され、再度彼の作品やその影響力に注目が集まりました。

フィルモグラフィー

この項では、天尾のプロデューサーとしての主な作品を簡単に紹介します。彼は1960年代から1980年代にかけて、多くの映画やオリジナルビデオを手がけ、そのジャンルは多岐にわたりました。特にピンク映画と呼ばれるジャンルやアクション映画、また特定の俳優とのコラボレーションによって多くの新しい文脈を映画界にもたらしました。

天尾完次の映画人生は、多くの挑戦を乗り越えながら、独創的で挑発的な作品を次々と世に送り出したものでした。

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