開基勝宝

開基勝宝（かいきしょうほう）

開基勝宝は、奈良時代の天平宝字4年（760年）に発行された、日本で最初の金銭です。円形方孔の形状をしており、銭銘は吉備真備の筆によると伝えられています。現在確認されているのはわずか32枚という、非常に希少な金貨です。

概要

開基勝宝は、淳仁天皇の治世下、天平宝字4年3月16日（760年4月6日）に、銀銭である大平元宝、銅銭である万年通宝とともに発行されました。当時、政権を主導していた太師・藤原恵美押勝（後の藤原仲麻呂）の命によって鋳造されました。

しかし、鋳造数はごくわずかであり、質量にも大きなばらつきが見られます。このため、計数貨幣としては不適格であり、一般的な流通を目的としたものではなかったと考えられています。一説には、同時期に発行された大平元宝10枚分、あるいは万年通宝100枚分に相当する価値を持つとされ、新銭（万年通宝）の価値を高める目的があったとも言われています。

出土例

開基勝宝の存在は、長らく幻とされてきました。1796年（寛政6年）に、西大寺西塔跡から1枚が出土し、皇室に献上されて御物となりました。しかし、人目に触れる機会がなかったため、贋作説すら囁かれていました。

ところが、1937年（昭和12年）に、西大寺畑山で宅地用の地ならしを行っていたところ、偶然31枚の開基勝宝が発見されました。これらの開基勝宝は、現在、東京国立博物館に収蔵されており、重要文化財に指定されています。

質量については、寛政期に出土したものが17.6グラムと大型であるのに対し、昭和期に西大寺畑山から出土したものは11.0～14.7グラムとばらつきが見られます。

また、1937年の発見時には、「賈行」と読める銀銭の破片も同時に見つかっています。この銀銭は、歴史的な記録には一切残っておらず、残りの文字も不明なことから、謎の銀貨として扱われています。

まとめ

開基勝宝は、日本における最初の金銭であり、その希少性から非常に貴重な文化財として扱われています。発行の目的や流通の実態など、まだ解明されていない謎も多く、今後の研究が待たれるところです。

脚注

東京国立博物館のウェブサイトでは、開基勝宝に関する詳細な情報が公開されています。

関連項目

皇朝十二銭

外部リンク

* 金銭開基勝宝 - 東京国立博物館

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