天正の地割

天正の地割について

天正の地割（てんしょうのじわり）または天正地割は、豊臣秀吉による1569年から1581年の間に行われた京都の通りの建設や町割の改変を指します。この事業は、京都の都市機能を一層向上させ、商業の発展を促進するために実施されました。

歴史的背景

平安京の通りは、当初は東西、南北に約120メートルの間隔でおり、正方形の区画が形成されていました。この区域は、貴族の邸宅や官吏の住居に使用され、建物が通りに直接接することにあまり影響はありませんでした。しかし商業活動が盛んなるにつれ、通りに面した土地が有利であることが明確になり、室町時代にはすべての建物が通りに面する形態が一般化しました。この結果、通りの両側が一体となり「町」を形成するようになりました。

秀吉の改造事業

秀吉は1590年（天正18年）に、南北方向の通りの中間に新しい通りを設置し、この通りはもともと空いていた地区を「町」として活用することを目的としていました。この事業は、秀吉が進めた京都の改造における重要な一環であり、他のプロジェクト如聚楽第の建設や寺町への移転と並ぶものです。

この新しい通りにより、京都の街路は南北に120メートル、東西に60メートル間隔の長方形に区画されることになり、現在もその形を引き継いでいます。地割は、東は寺町通から西は大宮通にかけて行われ、新しい通りの北端は丸太町通、南端は五条通周辺に位置しています。その後にもいくつか延長がなされた通りも存在します。

地域の変化と影響

特に、四条烏丸を中心とした下京のエリアは、地割が実施される以前から市街地として栄えていたため、新たな通りの設置は行われませんでした。その結果、この地域では平安京から続く正方形の区画が残されています。

一方で、歴史地理学者の足利健亮は、すべての南北の通りが秀吉の手で造られたわけではなく、一部は後の時代に地元の町衆によって設置されたという見解を示しています。このため、北端は押小路通までであったとしています。

新設された通り一覧

新しく設けられた通りは、東から順に記載されます。同一行の通りは南北の同一直線上に位置しています。

• - 御幸町通
• - 富小路通（平安京の富小路は現在の麩屋町通に相当）
• - 堺町通
• - 間之町通
• - 車屋町通 - 不明門通
• - 両替町通 - 諏訪町通
• - 衣棚通
• - 釜座通 - 若宮通
• - 小川通 - 東中筋通（天使突抜通）
• - 醒ヶ井通
• - 葭屋町通 - 岩上通
• - 黒門通

この地割の施行により、京都の都市環境は著しく変化し、商業活動の拡大に寄与しました。今なお続く京都の町づくりの基盤となったこの事業は、その後の歴史と文化を形作ってきた重要な出来事です。

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