寺町通

寺町通：歴史と文化が息づく京都の南北の通り

寺町通は、京都市を南北に貫く主要な通りの一つです。北は鞍馬口通、南は五条通まで続き、全長約4.6キロメートルにわたって伸びています。平安京の東端にあたる東京極大路を起源とし、歴史の変遷とともにその姿を変えながら、現代も京都の街並みに重要な役割を果たしています。

平安京から現代へ：歴史の軌跡

かつて都の東端の大路として栄えた寺町通は、京都御所の移転や幾度もの戦乱を経て、現在の京都御苑の東側を縁取る通りとなりました。その名の通り、多くの寺院が立ち並ぶ様子は、豊臣秀吉による京都改造事業によって形成されました。天正18年、税の効率的な徴収と京都防衛の目的で、通りの東側に寺院が集められたのです。この際に、本能寺も現在の場所に移転されました。

特に、寺町三条付近の通りのずれは、誓願寺の移転によって生じたものと言われています。寺院の移転は、記録によると寺院側に大きな負担を強いるものであったと伝えられています。鴨川に近い立地であったため、水害や火災の被害にもしばしば見舞われました。

一方、洛中北部には「寺之内」と呼ばれる寺院集中地区が形成されましたが、こちらは高燥地であり、寺町とは環境が大きく異なっていました。この環境の違いから、寺町と寺之内の間には様々な出来事が起こったと伝えられています。江戸時代中期以降は、火災を機に寺町から洛東へ移転する寺院も現れ、真如堂はその一例です。

交通路としての変遷と現代の表情

かつて寺町通は、南北方向の主要な交通路の一つであり、路面電車が走っていました。しかし、河原町通の拡幅や交通事情の変化に伴い、市電は河原町通に移り、その後は市バスも廃止されました。現在では、静かで落ち着いた雰囲気の通りとなっています。

一方、商業地としての賑わいも健在です。丸太町通から二条通にかけては、古美術店や画廊、古書店などが立ち並ぶ寺町会商店街が形成され、御池通から四条通にかけてはアーケード商店街が広がっています。特に三条通から四条通にかけての寺町京極商店街は、修学旅行生にも人気のスポットです。かつて四条通から高辻通にかけては電気街として栄えていましたが、近年は大型家電量販店の台頭に押され、2021年には最後の電気店が閉店しました。

現在、御池通から四条通までは路上喫煙禁止区域に指定されています。

沿道の主な施設

寺町通沿いには、多くの歴史的建造物や文化施設が点在しています。北から順に、上善寺、上御霊神社、本満寺、立命館白雲荘、同志社女子大学、京都市立京極小学校、本禅寺、清浄華院、廬山天台講寺、梨木神社、京都御苑、京都府立鴨沂高等学校、京都市歴史資料館、新島襄旧邸、同志社新島会館、下御霊神社、行願寺、そして多くの商店街などが挙げられます。

寺町通にまつわる文化

寺町通は、多くの文学作品や映画にも登場しています。梶井基次郎の『檸檬』には、寺町二条南東角にあった果物屋が登場し、映画『愛のお荷物』にはアーケード化される前の商店街の映像が残されています。

まとめ

寺町通は、平安京から現代まで続く歴史と、商業、文化が融合した魅力的な通りです。静寂の中に歴史の重みを感じ、活気ある商店街の賑わいを楽しむことができる、京都の代表的な場所と言えるでしょう。今後も、その歴史と文化を守りながら、多くの人々に愛される通りであり続けることでしょう。

もう一度検索