天理大学附属天理図書館

天理大学附属天理図書館：歴史と規模を誇る貴重な書物の宝庫

天理大学附属天理図書館は、奈良県天理市に位置する、日本でも有数の規模を誇る図書館です。天理大学に所属する者だけでなく、一般の利用者にも広く門戸を開放しており、15歳以上であれば誰でも利用できます（中学生を除く）。

膨大な蔵書と貴重なコレクション

その蔵書数は約146万冊にのぼり、国宝や重要文化財、重要美術品に指定された貴重な書物も多数所蔵しています。和漢洋の書籍に加え、古典籍も豊富に収蔵されており、日本文化研究の重要な拠点となっています。

歴史ある図書館建築

図書館の建物は、1930年に新築されました。設計には、当時最新の知見が取り入れられ、東京帝国大学図書館館長であった姊崎正治氏から提供されたミネソタ大学図書館の設計プランも参考とされました。その後、蔵書の増加に伴い、1963年には東館が増築されました。80年以上を経た現在も、内外装はほぼ当初のまま維持されており、歴史的建造物としての価値も高く、2023年には登録有形文化財に登録されました。建築設計は京都帝国大学教授の坂静雄氏、実施設計は島田良馨氏、施工は小坂井組が行いました。建設には、天理教信者の奉仕活動「ひのきしん」も貢献しています。

天理教と図書館の発展：中山正善氏の貢献

天理図書館の創設は、1925年に開校した天理外国語学校に遡ります。天理教が海外布教のために、外国語に堪能な人材育成を目的として設立された学校です。この学校に併設する形で図書館が設立され、天理教施設に分散していた図書を集約しました。1926年11月には、2万6千冊の蔵書をもって一般閲覧を開始しました。

天理図書館、そして天理参考館（1930年開館の博物館）のコレクションの充実には、中山正善氏の貢献が大きいです。中山正善氏は、天理教の開祖・中山みきの曾孫であり、天理教第2代真柱を務めた人物です。彼は、海外布教には、単なる語学力だけでなく、現地文化の深い理解が不可欠と考え、世界各国の文化資料収集の重要性を唱えました。この理念が、天理図書館・天理参考館のコレクション形成の基礎となっています。

特に、第二次世界大戦後の混乱期には、多くの旧家や財閥が蔵書や古美術品を売却せざるを得ない状況の中、中山正善氏は、多くの貴重な蔵書を一括購入しました。これは、当時の社会情勢と、天理教に対する優遇措置が重なった結果だと言われています。

充実したコレクション：多様な分野の貴重な資料

天理図書館のコレクションは、日本文学関連の古写本、キリシタン版、インキュナブラ、古地図などに特に優れています。源氏物語、竹取物語、伊勢物語などの古写本、俳諧・連歌関連資料、近代文学者の自筆原稿など、幅広い分野の貴重な資料を収蔵しています。

また、本能寺の変に関する「本城惣右衛門覚書」のような珍しい資料も存在します（閲覧不可）。国宝・重要文化財に指定された古典籍も多く含まれています。綿屋文庫、古義堂文庫、吉田文庫など、著名な蒐集家コレクションも一括して所蔵しており、特に綿屋文庫は三大俳諧コレクションの一つとして評価されています。

文化財としての価値

天理図書館は、多くの国宝・重要文化財を所蔵しており、その中には『日本書紀』の乾元本や『源氏物語』の貴重な写本なども含まれます。これらの文化財は原本の閲覧が制限されている場合がありますが、展示会などで公開される機会もあります。

アクセスと情報

天理図書館は、JR桜井線・近鉄天理線天理駅から徒歩20分の場所に位置しています。毎月末と年末年始のほか、不定期に休館日があります。開館時間は9時から17時30分（土日祝日は16時30分まで）です。

天理図書館は、学術研究に貢献するだけでなく、一般の人々にも開かれた貴重な文化資源として、今後もその役割を果たしていくことでしょう。

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