近鉄天理線

近畿日本鉄道 天理線

近畿日本鉄道（近鉄）天理線は、奈良県大和郡山市の平端駅から奈良県天理市の天理駅までを結ぶ鉄道路線です。全長4.5kmの短い路線ながら、近鉄の主要路線である橿原線や京都線と直通運転を行うなど、重要な役割を担っています。

路線概要

天理線は全線複線電化されており、標準軌（1,435mm）を採用しています。最高速度は90km/hで、自動閉塞式を採用し安全性を確保しています。PiTaPa、ICOCA、Suicaなどの全国相互利用可能なICカードが利用可能です。かつてはスルッとKANSAI対応カードやJスルーカードにも対応していました。

運行形態

天理線では、線内折り返し列車の他に、橿原線・京都線直通の急行と普通列車が運行されています。急行・普通列車ともに、天理線内は全駅に停車します。

日中の運行頻度は1時間あたり3本で、橿原線直通の普通列車が1本、線内折り返し列車が2本運行されています。普通列車の一部は、2012年3月20日のダイヤ改正以降、大和西大寺駅を経由して京都駅まで直通運転されるようになりました。

かつては、奈良線直通の定期列車も運行されていましたが、現在では本数は少ないものの、大和西大寺駅発着で奈良線と直通する列車が毎日運行されています。

臨時列車

天理教の祭典日（毎月26日）や本部行事開催日には、臨時列車が運行されます。これには、京都駅発着の臨時特急、大阪難波駅・京都駅・大和西大寺駅発着の臨時急行、平端駅発着の臨時普通列車が含まれます。

特に注目すべきは、五十鈴川駅発着の臨時列車です。これは、名阪乙特急と連絡する列車で、宇治山田駅、伊勢市駅、宮町駅、明星駅、松阪駅、伊勢中川駅、榊原温泉口駅、大和八木駅などに停車します。名張行き臨時列車も運行され、大和八木駅、榛原駅などに停車します。これらの列車は、建前上は団体専用列車扱いですが、天理教の帰参者であれば利用可能です。天理線内は各駅に停車しません。

過去には、近鉄名古屋駅発着の臨時特急や、阪神本線神戸三宮駅発着の臨時急行も運行されていましたが、現在は定期列車として運行されています。

また、大晦日から元旦にかけては終夜運転が行われ、線内折り返しの普通列車が運行されます（2020年は実施されず）。

車両

天理線では、橿原線と直通運転を行う列車が多いため、奈良線・京都線と同様に西大寺検車区所属の車両が使用されています。3200系、3220系などの京都市営地下鉄烏丸線対応車両も運用されています。

急行列車は主に6両編成（一部4両編成）、普通列車は主に4両編成ですが、早朝や深夜には2両編成の列車も運行されています。線内折り返し列車には6両編成も存在し、天理教の祭礼時には6両編成の割合が増加します。

歴史

天理線の歴史は、1915年（大正4年）に天理軽便鉄道が開業したことに始まります。当初は軌間762mmの狭軌で、新法隆寺駅（後の近畿日本法隆寺駅）と天理駅を結んでいました。

1921年（大正10年）、大阪電気軌道（大軌）に買収され、「天理線」と改称されました。翌1922年（大正11年）、平端駅～天理駅間が標準軌に改軌され電化されました。同時に、新法隆寺駅～平端駅間は法隆寺線として分離されました。法隆寺線は最後まで狭軌非電化のままで、1945年（昭和20年）に休止、後に廃止されました。

その後、天理線は様々な改良工事を経て、現在の姿になりました。1988年（昭和63年）には全線複線化が完成し、近代的な路線へと進化を遂げました。

駅一覧

天理線には、平端駅、大和安堵駅、二階堂駅、天理駅の4駅があります。平端駅と天理駅を除く駅は無人駅です。

法隆寺線

1952年（昭和27年）4月1日に廃止された法隆寺線は、新法隆寺駅（現在の西日本旅客鉄道法隆寺駅付近）と平端駅を結んでいました。

参考文献

『まるごと近鉄ぶらり沿線の旅』（徳田耕一、河出書房新社）
カラーブックス『日本の私鉄 近鉄1』（諸河久・杉谷広規、保育社）
カラーブックス『日本の私鉄 近鉄2』（諸河久・山辺誠、保育社）
『近鉄時刻表』
『鉄道ピクトリアル'03年1月号増刊 特集：近畿日本鉄道』（電気車研究会）
今尾恵介『日本鉄道旅行地図帳 8号 関西1』（新潮社）

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