天野喜久代

天野喜久代（あまの きくよ）は、1897年（明治30年）に生まれ、1945年（昭和20年）に亡くなった日本の歌手、女優です。本名は新井ふくと言います。

千葉県佐倉市出身で、日本橋高等女学校を卒業後、1913年（大正2年）に帝劇歌劇部二期生として入部し、1914年（大正3年）2月から舞台に立ちました。1916年（大正5年）に帝劇洋劇部が解散した後は、歌舞劇協会や東京歌劇座を経て、浅草オペラで活躍しました。

東京音楽学校でハンカ・ペツォールドに師事し声楽の基礎を築いた彼女は、浅草オペラ衰退後も、1929年（昭和4年）には浅草電気館レビューで活躍する傍ら、松竹少女歌劇団の声楽教師も務めました。しかし、同年6月頃に電気館レビューは解散してしまいます。

1928年（昭和3年）にニッポノホン（現日本コロムビア）からリリースされた、二村定一とのデュエット曲「アラビヤの唄」は爆発的なヒットを記録し、一躍人気歌手となりました。その後も、「青空」「赤い翼」「ハレルヤ」「想い出」など、アメリカのジャズを翻訳した曲を数多くヒットさせ、二村定一や佐藤千夜子とともに、日本のポピュラー音楽の先駆者として重要な足跡を残しました。また、ジャズシンガーの川畑文子の後見人として、次世代の育成にも尽力しました。

1935年（昭和10年）ごろに吹き込んだレコードが最後の記録とされています。1945年（昭和20年）3月10日の東京大空襲で焼死したとも、精神を病み亡くなったとも言われており、その最期ははっきりとはわかっていません。

彼女の代表曲としては、「茶目子の一日」、「アラビヤの唄」、「私の青空」、「浅草行進曲」、「新銀座行進曲」、「黒い眸よいまいづこ」、「月光価千金」、「モン・パパ」、「赤い翼」、「チャッカリしてるわね」、「福島行進曲」、「人生はかない」、「夜中の銀ブラ」などがあります。「私の青空」は、1970年のアメリカ映画「M★A★S★H マッシュ」の挿入歌としても使われました。

天野喜久代の生涯は、2020年のNHK連続テレビ小説『エール』で、山田麗によって川野三津代という役名で演じられました。

彼女の活躍は、日本の音楽史において、非常に重要なものとして記録されています。

代表曲
「茶目子の一日」（1919年）
「アラビヤの唄」（1927年）二村定一とのデュエット。
「私の青空」（1927年）二村定一とのデュエット。
「浅草行進曲」（1928年）二村定一とのデュエット。
「新銀座行進曲」（1928年）
「黒い眸よいまいづこ」（1929年）
「月光価千金」（1930年）榎本健一版とは歌詞が異なり、あくまで日本語訳としての歌詞。歌ったのは最初である。
「モン・パパ」（1930年）
「赤い翼」（1931年）ソロとして最もヒットした曲。
「チャッカリしてるわね」（1931年）
「福島行進曲」（1931年）作詞：野村俊夫 作曲：古関裕而
「人生はかない」（1931年）バートン・クレーンとのデュエット。
「夜中の銀ブラ」（1931年）バートン・クレーンとのデュエット。
「朗らかに泣け」…松竹映画主題歌。
* 「ゴールインの唄」

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