天野恵一

天野恵一（あまの やすかず）は、1948年に生まれた日本の思想家、社会評論家、そして反戦活動家として知られています。彼の活動は、日本の社会における様々な問題、特に戦争や天皇制に対する批判的な視点から展開されています。

生い立ちと学生時代

天野は静岡県で生まれ、1970年に中央大学法学部を卒業しました。学生時代には、全共闘運動に積極的に参加し、社会変革への強い情熱を抱いていました。この経験は、彼の後の思想や活動に大きな影響を与えました。

社会評論家としての活動

大学卒業後、天野は早稲田通りで古書店「寅書房」を経営しながら、社会評論家としての活動を開始しました。この書店は2014年に閉店しましたが、彼の思想の発信拠点として重要な役割を果たしました。彼は、1970年代には土田・日石・ピース缶爆弾事件などの救援活動に携わり、社会の不公正に対して積極的に行動しました。

反天皇制運動

1984年には、菅孝行らとともに反天皇制運動連絡会（通称：反天連）を結成し、天皇制に対する批判的な立場を明確にしました。この運動は、日本の歴史や社会構造に対する深い洞察に基づき、天皇制が抱える問題点を社会に問いかけるものでした。

反戦運動

1990年代からは、派兵チェック編集委員会などで反戦運動にも積極的に関与しました。彼は、戦争や軍事力行使に反対し、平和を求める活動を継続しました。彼の反戦思想は、新ガイドライン安保などの具体的な政策に対する批判として、多くの著書で展開されました。

著書

天野恵一は、数多くの著書を通じて、自身の思想を発信してきました。以下に主な著書を挙げます。

『危機のイデオローグ ―清水幾太郎批判―』（批評社、1979年）
『戦後史の天皇・総解説　―最後の御前会議からXデーまで―』（自由國民社、1986年）（丸山照雄・穂坂久仁雄・菅孝行との共著）
『撃ちくずせ天皇制　―"昭和"天皇史を総括する―』（あずさ書店、1989年）（高橋寿臣との共著）
『反戦運動の思想　―新ガイドライン安保を歴史的に問う―』（論創社、1998年）
『本当に戦争がしたいの!?　―新ガイドラインの向こうに見えるもの―』（凱風社、1999年）（新崎盛暉との共著）
『で、オリンピックやめませんか？』（亜紀書房、2019年）（鵜飼哲との共著）

社会批評社からは以下の書籍が刊行されています。

『思想としての運動体験 (検証・昭和の思想)』（1994年）（池田浩士との共同編集）
『大衆社会と象徴天皇制 (コメンタール戦後50年)』（1995年）
『「自由主義史観」を解読する』（1997年）
『君はオリンピックを見たか』（1998年）
『「日の丸・君が代」が人を殺す!』（1999年）
『沖縄経験“民衆の安全保障”へ ―反戦運動の同時代史1998.7→2000.5―』（2000年）

インパクト出版会からは以下の書籍が刊行されています。

『マスコミじかけの天皇制』（1990年）
『メディアとしての天皇制』（1992年）
『「恋愛結婚」じかけの天皇制』（1993年）
『「無党派」という党派性　―生きなおされた全共闘経験―』（1994年）
『戦後50年・100の肖像』（1995年）
『全共闘経験の現在』（1997年）
『平和をつくる　―「新ガイドライン安保」と沖縄闘争―』（1998年）
『無党派運動の思想　―「共産主義と暴力」・再考―』（1999年）
『「日の丸・君が代」じかけの天皇制』（2001年）
『災後論　―核（原爆・原発）責任論へ―』（2014年）

これらの著書を通じて、天野は日本の社会や政治における様々な問題点を指摘し、読者に深く考えるきっかけを提供してきました。彼の著作は、現代社会における重要なテーマを扱い、読者に多くの示唆を与えています。

関連人物・事項

天野恵一の活動に関連する人物や事項として、以下が挙げられます。

菅孝行：反天皇制運動連絡会をともに結成した人物
貝原浩：反天皇制運動における同志の一人
* 反天皇制運動連絡会：天野が中心となって結成した団体

天野恵一の思想と活動は、日本の社会運動史において重要な位置を占めており、彼の著作は現代社会を理解する上で貴重な資料となっています。

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