太夫 (遊女)

太夫（たゆう）とは

太夫とは、遊女や芸妓における位階の一つで、最高位に位置する者を指します。

歴史

太夫の称号は、江戸時代初期に女歌舞伎が隆盛した時代に、芸達者な役者が「太夫」と呼ばれたことに始まると言われています。その後、遊廓が整備され、遊女の階級制度が確立するにつれて、美貌と教養を兼ね備えた最高位の遊女に与えられる称号となりました。

太夫は、主に京の島原、江戸の吉原、大坂の新町、長崎の丸山といった遊廓に配置され、公家、大名、旗本といった上流階級を相手にしました。丸山においては、中国やオランダ人も顧客として迎えられました。この時代には、吉野太夫、夕霧太夫、高尾太夫といった、後に寛永三名妓と称される名妓が輩出されました。

しかし、太夫を遊興の相手とするには非常に高額な費用が必要とされたため、次第に太夫の存在は衰退していきます。江戸では宝暦年間（1751年～1764年）に吉原で太夫が消滅し、代わりに「散茶（さんちゃ）」と呼ばれる遊女が「花魁（おいらん）」と呼ばれるようになり、遊女の主流となりました。一方、京都や大坂では「太夫」の名は残り、別名「こったい」とも呼ばれました。

時代の変遷を経て、2017年現在、島原には5名の太夫が在籍しています。彼女たちは、伝統を受け継ぎながら、現代においてもその存在感を示しています。

参考文献

『京・嶋原太夫』 石原哲男著、京都書院

関連項目

花街
遊廓
花魁
島原 (京都)
新町遊廓
吉原遊廓
丸山 (長崎市)
辻 (那覇市): 琉球・沖縄の官許の遊所。ジュリ (尾類)（遊女・芸妓）が多数いた。独特のしきたりや文化があった。
哥川: 「太夫」と同格の芸教養と格式、品格を持つ者とされていた「三国小女郎」の女流俳人。
妓女
妓生
* コウメ太夫

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