太祖 (高麗王)

太祖王建（たいそおうけん）

太祖王建（877年1月31日 - 943年7月4日）は、918年から943年まで高麗の初代国王として在位しました。彼の名は王建（おう・けん、ワン・ゴン）であり、字は若天で、没後には応運元明光烈大定睿徳章孝威穆神聖大王の諡号を贈られています。

出自と系譜

王建の先祖は唐の皇帝であり、特に彼の曾祖父は唐の粛宗または宣宗との伝説に基づいています。王建の祖父、王帝建は父を探しに唐へ渡ろうと試みましたが、その過程で四海の龍王の娘である龍女と出会い、彼女との間に子供をもうけることになります。そのため、高麗の王室は龍の一族とされていました。

王建自身は、松嶽（現在の開城市）で生まれ、豪商の家系に育ちました。彼が生まれた時、母はすでに亡くなっていたため、不思議な出生譚が残されており、これは古代の王権起源神話が絡み合った結果とされています。

出自論争

王建はその出自に関して様々な議論があり、特に彼の第2后妃である荘和王后の血筋が中国の貴族に由来するため、彼の子孫が中国人の血を引いていることが認められています。また、中国の歴史学者たちによると、王建は中国淮河流域出身の漢人であるともされています。

王建の台頭

彼は918年に新羅に対して反乱を起こし、松嶽に遷都し、国号を高麗と定めます。この時、新羅が崩壊し、後百済と高麗の連合による朝鮮半島の再統一が進められます。

王建は周囲の豪族を巧みに取り込み、国内の基盤を固めていきました。931年には後唐に朝貢し、高麗国王に任じられ、935年までに新羅と後百済を滅ぼし、936年には朝鮮半島を統一しました。彼の統治下では、中央集権の仕組みが整えられ、地方行政の制度も確立されました。

文化や外交

統一後、王建は経済と文化の振興に力を入れました。仏教を国家が庇護する方針を取り、さらに当時の中国王朝との友好関係を築くために頻繁に朝貢を行い、また日本との貿易関係も模索しました。

死去と遺訓

943年に67歳で死去する際、王建は後代の王たちに向けて「訓要十条」を遺しました。これは、仏教の保護、王位継承の厳格化、地域的な偏見の排除などが含まれており、彼の治世の方針を示す重要な文書です。

後世の評価

王建は400年以上の高麗王朝の礎を築いた偉大な王と評価されています。彼の政策は、北方政策を含む高句麗の継承を意識したものであり、契丹に対しては強硬な姿勢を示し、後の高麗王朝の歴史に大きな影響を与えました。王建の業績は高麗の歴史書に記録されており、後代の王たちに深い影響を与え続けています。

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