夫琓爀

夫 琓爀の生涯と業績

夫 琓爀（プ・ワンヒョク、1919年3月1日 - 1984年12月31日）は、韓国の言論人であり官僚として知られる人物です。彼は済州夫氏に生まれ、京城府で育ちました。1941年に京城帝国大学法科を卒業後、朝鮮総督府に官吏として就職し、慶尚北道善山郡の郡守を務めました。この時期、彼は日本の支配下で活動しており、創氏改名によって「大山丈夫」という日本式の名前を名乗っていました。

アメリカ軍政が始まると、夫琓爀は高麗大学校法科の教授に就任し、学問の世界でも活動を続けました。その後、1948年に国務総理李範奭の秘書官に任命され、再び官界に戻りました。1952年には企画処の物動局長や韓米合同経済委員会の事務局長として重要な役職を担います。

1955年に官界を離れ、朝鮮日報の論説委員として活動を開始しました。ここで彼は経済専門家として言論界に名を馳せることとなります。彼のキャリアは、4・19革命後に朝鮮日報の主筆としての地位を経て、金融通貨委員会の委員に選ばれるところまで広がります。しかし、1961年の5・16軍事クーデターによって、彼の政治活動は一時的に停止されることとなります。

朴正煕政権下の第三共和国時代、夫琓爀は張俊河が創刊した思想雑誌『思想界』に寄稿するようになり、自身の文筆生活を続けました。1967年には新民党に入党し、朴正煕政権に反対する立場を表明します。政治的活動が続く中、彼は『思想界』の発行人としても知られ、同誌を経営しました。しかし、1970年に朴正煕政権の腐敗を暴露した金芝河の短詩「五賊」を掲載したことがきっかけとなり、『思想界』は廃刊となる事件、いわゆる五賊筆禍事件が発生します。

1976年には、彼の娘婿が設立した栗山グループの会長に就任しましたが、グループの解体により、経済人としての転身は成功しませんでした。彼はまた、『新帝国主義』や『国際共産党と世界革命』などの著作も残しています。

夫琓爀は、日本統治時代に官吏を務めた経歴から、2008年に民族問題研究所によって発表された親日人名事典の官僚リストに名を連ねる予定者としても取り上げられました。彼の複雑な経歴は、政治と経済、そして思想の交差点に立つ人物として、当時の韓国の社会に大きな影響を与えました。彼の生涯は、時代の変遷とともに変化する韓国社会を映し出す鏡でもあります。

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