奈良電車区

奈良電車区

奈良電車区は、奈良県奈良市に位置する西日本旅客鉄道（JR西日本）の乗務員区所です。平城山駅に隣接しており、かつては車両基地としての役割も担っていました。本項では、奈良地区における車両基地の歴史についても触れながら、その変遷を辿ります。

概要

2012年5月31日まで、奈良電車区は関西本線（大和路線）や奈良線などを中心に運用される車両が配置される車両基地であり、運転士も所属していました。しかし、2012年6月1日の検修体制見直しに伴い、検修部門が吹田総合車両所の奈良支所として分離され、以降は運転士のみが所属する乗務員区所となりました。

乗務範囲

奈良電車区の乗務員が担当する主な路線は以下の通りです。

奈良線：木津駅 - 京都駅間
関西本線（大和路線）：加茂駅 - JR難波駅間
大阪環状線：全線（ただし、阪和線系統には乗務しません）
桜井線（万葉まほろば線）：高田駅 - 奈良駅間（定期行路では天理電留線入出区の回送列車のみ）
和歌山線：高田駅 - 王寺駅間

また、臨時行路として、上記の路線の他に、キヤ141の関西空港線、羽衣線、学研都市線検測（全線）、和歌山線（五条〜高田間）を担当することがあります。さらに、日根野支所新在家派出所所属の車両が吹田総合車両所に入場する際の五条〜高田間や、学研都市線の臨時工事列車（工臨）、クモヤ443、キヤ141の奈良線検測返却・送り込みの京都〜向日町（操）間も担当します。

車両配置略号の変遷

配置車両の車体に記される略号は、所属組織の略号と奈良の電報略号である「ナラ」で構成されています。その変遷は以下の通りです。

国鉄時代：天ナラ（「天」は天王寺鉄道管理局の意味）
民営化後：近ナラ（「近」は近畿圏運行本部の意味）
組織改正後：「本ナラ」（「本」は本社直轄の意味）
1993年6月以降：「大ナラ」（「大」は大阪支社の意味）
2010年12月1日以降：近ナラ（「近」は近畿統括本部を意味）

かつての配置車両

吹田総合車両所奈良支所発足直前となる2012年4月1日現在の配置車両は以下の通りでした。これらの車両はすべて奈良電車区に配置されていました。

103系電車：70両（6両編成3本、4両編成13本）。車体色は黄緑6号で、先頭車両の前面には白色警戒帯が塗布されていました。
201系電車：96両。103系電車と同じく黄緑色の車体で、先頭車両前面に白色警戒帯が塗布されていました。
221系電車：226両（8両編成6本、6両編成11本、4両編成28本）。
145系電車：1両。事業用車（牽引車）

歴史

奈良電車区は、その前身となる組織を含め、以下のような歴史を辿ってきました。

1896年（明治29年）4月：奈良鉄道により奈良機関庫が設置。
1898年（明治31年）5月：京終機関庫が設置され、奈良機関庫が廃止。
1899年（明治32年）：大阪鉄道により奈良機関庫が設置されるも、同年6月に加茂機関庫に統合され廃止。
1916年（大正5年）10月：京終機関庫・加茂機関庫が統合され、奈良機関庫が発足。
1936年（昭和11年）9月：奈良機関区が発足。
1951年（昭和26年）4月1日：奈良客貨車区が発足。
1954年（昭和29年）10月1日：奈良客貨車区・奈良機関区加茂支区が廃止。奈良気動車区が発足。
1965年（昭和40年）4月1日：奈良気動車区と奈良機関区が統合され、奈良運転所が発足。
1985年（昭和60年）3月14日：奈良電車区が発足し、王寺支区も開設。奈良運転所が廃止。
1987年（昭和62年）4月1日：国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道に継承。
* 2012年（平成24年）6月1日：組織改正により検修部門が分離、吹田総合車両所奈良支所となり、奈良電車区は乗務員区所となる。

奈良電車区は、時代の変遷とともに組織形態や役割を変化させながら、現在も関西本線や奈良線などの運行を支え続けています。

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