奥保鞏

奥 保鞏（おく やすかた）

奥保鞏（1847年1月5日生 - 1930年7月19日没）は、日本の陸軍軍人であり、官位は元帥陸軍大将従一位、大勲位功一級伯爵とされる。彼は皇族や薩長出身者以外で初めて元帥に昇進したことでも知られる。

生い立ちと初期の経歴

福岡県小倉に小倉藩小笠原家の家臣の長男として生まれた奥は、幼名を為次郎と称した。15歳の時に本家の奥保義の養子とされ、その後家督を継いだ。幕末には、幕府側に立ち長州征討に参加し、1871年に常備軍の小隊長に任命される。1873年には熊本鎮台中隊長となり、佐賀の乱などの重要な戦に従事した。

明治時代の軍歴

明治時代にはさまざまな戦役に従軍。特に西南戦争では、激しい戦闘の中で部隊を指揮し、傷を負いながらも見事に任務を全うした。明治10年5月の西南戦争では熊本城を守るための戦いで、彼の指揮のもとで薩摩軍の包囲を突破。この戦役を経て、彼は次第に昇進を遂げた。

彼は明治27年に第5師団長に就任し、日清戦争に出征、功績を上げる。明治30年には近衛師団長に任命され、軍事参議官としても活躍。さらには日露戦争開戦時に第2軍の司令官として指揮を執り、数々の激しい戦闘を経験した。特に南山の戦い、得利寺の戦い、遼陽会戦などでの戦歴は華々しいもので、独自の作戦戦略で成果を上げ続けた。

南山の戦いと得利寺の戦い

南山の戦いにおいて、奥はロシア軍の堅固な防御に挑戦し、幾度も攻撃を続けた結果南山を占領。この成功は彼の名を有名にした。また、得利寺の戦いでも勝利を収め、旅順の孤立を決定的にした。

奉天会戦とその後

奉天会戦では、ロシア軍が退却する際に日本軍が猛烈な追撃を行い、勝利を収めた。彼の指揮力と戦術的知恵は非常に高く評価され、陸軍内で重要な地位を占める存在となったが、恵まれた地位にもかかわらず常に謙虚であったと言われている。

軍事参議官とその後

戦後は引き続き重要な役職を歴任し、最終的に元帥に任命される。彼は軍事的な指導だけでなく、政治的なキャリアには興味を見せずに、静かな晩年を過ごした。生涯を通じて自身の功績を誇示することは無く、戦死した多くの部下に対する自責の念が強く残ったという。

人物像と晩年

奥保鞏は陸軍内で異例の抜擢を受け続け、多くの将官が薩長出身者の中で彼だけは特別な存在とされていた。難聴を持ちながらも指揮能力に支障をきたさず、战略を練り続ける姿は周囲に深い感銘を与えた。彼の晩年は静かで、政治や権力闘争から距離を置いていた。

その後、1928年に脳出血を起こし、その影響で身体的にも不自由を味わうこととなったが、1943年に享年85で亡くなった。日本の陸軍における重要な人物であり続けた奥保鞏の功績と業績は、今なお歴史に記憶されています。

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