奥平昌能

奥平 昌能（おくだいら まさよし）

奥平昌能は江戸時代前期に存在した大名で、下野国の宇都宮藩主および出羽国の山形藩初代藩主です。彼は、徳川家康の玄孫であり、官位は従五位下・大膳亮でした。家系は中津藩奥平家に連なる名門であり、昌能自身も名将たちの血を引く重鎮として知られています。

生誕と若年時代

昌能は寛永10年（1633年）に、宇都宮藩主である父・奥平忠昌の長男として生まれました。彼は寛永17年（1640年）10月28日に江戸幕府の3代将軍である徳川家光に初めて拝謁し、その後、正保3年（1646年）に元服を果たします。若い頃から、榊原忠次と共に徳川家綱の傅役を任されるなど、彼は早くから高い地位にあったことがわかります。

家督相続と宇都宮興禅寺刃傷事件

寛文8年（1668年）、父・忠昌の死に伴い、昌能は家督を継ぎます。しかし、彼の治世は必ずしも順調ではありませんでした。亡父の法要を行っていたある日、重臣たちの間で生じた私怨が刃傷事件に発展し、昌能は判断を誤った結果、両成敗にしない裁定を下しました。この不満から家中の忠義心に亀裂が生じ、多くの家臣が離反する結果となります。このような事件は後に江戸の三大仇討の一つともなる「浄瑠璃坂の仇討」に繋がっていきます。

晩年と死去

寛文12年閏6月25日（1672年8月17日）、昌能は危篤状態に陥ります。当時、彼は嫡男や長女を先立たれており、再び嗣子を定める必要がありました。彼は甥の小次郎を養嗣子にすることを決定し、家臣の島田出雲守が内申を行った結果、昌能はその願いを認められます。しかし、翌日の2日、昌能は死去してしまい、享年は40でした。小次郎は昌能の娘である菊姫と結婚し、後に奥平昌章として家督を継ぎます。

人格と逸話

昌能は粗暴な性格を持ち、陰で「荒大膳」と呼ばれていました。彼の統治下では、杉浦右衛門兵衛の追腹一件が起こるなど、厳しい人事が下されました。実際、昌能の行動が問題視された結果、多くの家臣が彼を見限って家中を離れるという事態も発生します。若い頃から彼の粗暴さは目立っており、釣りをしていた際に、山伏が水垢離を行っていたことで激怒し、斬りつけて処罰するといったようなエピソードも残されています。昌能の行動は、家中の士たちに深い影響を及ぼし、彼の名前はただの名将ではなく、その性格と行動により暗い一面も併せ持つ存在として語り継がれています。

系譜

• - 父: 奥平忠昌
• - 母: 桂岳院（鳥居忠政娘）
• - 室: 不詳
• - 男子: 千福丸
• - 次女: くら姫（松平乗春正室）
• - 三女: 菊姫（1664-?、奥平昌章正室）
• - 養子: 奥平昌章（1668-1695、五島盛勝の次男または三男）

彼の人生は、名門の出自にかかわらず、波乱に満ちたものでした。江戸時代という変革の時代の中で、奥平昌能の影響は、その後の家族や家中に様々な形で反映されていきました。

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